2023.05.26
# 企業・経営

「ホーマックには勝てそうにない」「ニトリの商品の輝きは何かが違う」…北海道から生まれ全国を席巻した両社の創業者が、お互いに秘めていた「奇跡の相思相愛」

かつては「小売不毛の地」とも言われた北海道。しかしその北海道から、ニトリ、ツルハ、DCMと、次々とさまざまな業界のトップ企業が生まれていることをご存じだろうか。それらの企業は北海道のみならず全国で成功を収め展開を加速させている。その経緯と秘密に迫る。

※本記事は、浜中淳『奇跡の小売り王国「北海道企業」はなぜ強いのか』から抜粋・編集したものです。

〈単品管理〉と「全国制覇」への発進

06年、北海道のホーマック、愛知のカーマ、愛媛のダイキという各地を代表するホームセンター3社が経営統合した。この3社の持ち株会社として発足したのがDCMJapanホールディングス、現在のDCMホールディングス(10年に社名変更)である。

このころの日本のホームセンターはリージョナルチェーンしかなく、よく言えば群雄割拠、悪い言い方をすれば“どんぐりの背比べ”が実態だった。その中で先陣を切り「全国制覇」「2015年のグループ売上高1兆円」を目指し、エリアを超えて手を結んだ3社(各社の頭文字を取って〈KDH連合〉とも呼ばれた)の動向は、関係業界に驚きをもって受け止められた。

壮大な目標を掲げ、KDH3社の統合を仕掛けたのが、ホーマック会長兼社長(当時)の前田勝敏氏(1945−)である。

前田氏は、ホーマックの前身、石黒ホーマの創業者、石黒靖尋氏(1936−2011)が76年にホームセンター1号店を釧路に出したころから右腕として支え、二人三脚で同社を北海道のトップ企業に押し上げた人だ。

日本列島の東端にあり、仕入れ先から遠い釧路でホームセンターを健全経営するには、緻密な在庫管理が不可欠―。そう考えた前田氏は、80年代前半にイトーヨーカ堂が成果を上げていた〈単品管理〉の導入を思い立つ。

 

単品管理とは、POS(販売時点情報管理)システムを通じ、商品の売れ行きを文字通り単品ごとに把握する在庫管理技術のことだ。前田氏は06年の私の取材に対し、その原体験を次のように語っている。

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