クリントン元大統領の「衝撃告白」…実は「プーチンの野望」を10年以上前から知っていた!

長谷川 幸洋 プロフィール

クリントン氏は今回の講演に先立つ1カ月前の4月5日にも、アイルランド紙「RTE」のインタビューで、ウクライナに核放棄を約束させた当時の自分を後悔していた。彼は、こう語った。

〈私は彼らに核を手放させた。それには、個人的に責任がある。もし、彼らがいまも核を持っていれば、誰もロシアがこんな曲芸をしでかす、とは思わないだろう。私は「プーチンが合意を支持していない」と知っていた。エリツィンはウクライナに核を放棄させたかったから「領土に介入しない」という合意を結んだのだ〉

〈だが、ウクライナの人々は核の放棄を恐れていた。なぜなら、それこそがロシアから身を守る唯一の方法と知っていたからだ。プーチンに都合が良くなったとき、彼は合意を破り、まずクリミアを奪った。恐ろしいことだ。ウクライナは非常に重要な国だ〉
 

ウクライナ側の立場

一連のクリントン発言を、どう受け止めるべきか。

一言で言えば、私は、まったくの「ご都合主義」だと思う。少なくとも2011年の時点で、米国と世界に警鐘を鳴らすべきだった。だが、そんな警告は発していない。

それどころか、元大統領は今回の侵攻が始まった後の2022年4月、米誌「アトランティック」に「私はロシアを別の道に誘導しようとした」と題する論文を寄稿し、自分が主導したNATO拡大をひたすら擁護していた。次のようだ。

〈私は、ロシアが共産主義に戻ることは心配していなかったが、民主主義を捨て、かつてのピョートル大帝やエカチェリーナ大帝のような帝国願望に戻るのを心配していた。私がNATO拡大を提案したとき、ジョージ・ケナンやニューヨーク・タイムズのトーマス・フリードマン、ロシアの専門家、マイケル・マンデルバウム氏らは「ひどい結果になる」と反論していた〉

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