リベラリズムという「おとぎ話」
クリントン元大統領の弁明と後悔、さらに今回の衝撃的な暴露は、彼の「迷走ぶり」を見事なまでに物語っている。なぜ、これほど間違えたか、と言えば、アトランティックへの寄稿で暗に認めたように、ロシアの恐怖心と決意を甘く見すぎていたからだ。
彼は、NATOの拡大で中東欧諸国の期待に応える一方、ロシアにも民主化を勧め、加盟をちらつかせた。それが、逆に「プーチンの怒りと野望」に火を点けた。そんな相手の心情は、クリントン氏をはじめとする米国のリベラリストたちには、思いも及ばなかったのである。
クリントン氏はアトランティック論文で、自分の政権で国務長官を努めた故・マドレーヌ・オルブライト国務長官の役割を激賞している。オルブライト氏こそが「米国の国益と価値観が繁栄する世界の領域を拡大することが、我々の課題」と訴えたリベラリズムのチャンピオンだった。

故・ケナン氏をはじめとする現実主義者たちからの批判は承知していても「自分で自分の期待と理想に背きたくなかった」。これがリベラリズムの核心である。リベラリズムは民主党だけでなく、その後の共和党政権にも共通している。それが「プーチンの警告」を、米国が真面目に受け止めなかった大きな理由である。
動機がいくら美しくても、その通りに現実は動かない。それは、広島サミットで「核兵器なき世界」を訴えた岸田文雄政権にも共通する。「星に願いを」は童話の世界の話なのだ。
5月23日に配信した「長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル」は、月刊誌「正論」編集長の田北真樹子さんをゲストにお招きし、高橋洋一さん、梅宮万紗子さんと4人で「広島サミット」について議論しました。
24日には、同じく「LGBT法案と衆院解散」について議論しました。
25日には、私の1人語りで「クリントン元大統領の衝撃暴露発言」について解説しました。
24日に配信したニコ生番組「長谷川幸洋tonight」は、筑波大学名誉教授の中村逸郎さんをゲストにお招きし「ウクライナ戦争の現状」について議論しました。いずれも、ぜひご覧ください。