「トランプ関税」の背後にある「アメリカン・システム」とはいったいなんなのか?

伝統に根差した「アメリカン・システム」のトランプ関税を甘く見てはいけない

37年前、まだ40歳をこえたばかりのトランプ大統領が、高率関税の意義について熱心に説明している動画が、話題だ。トランプ大統領の長年にわたる関税に対する人一倍強い思いを示しているためだ。そこで、トランプ大統領は、「自分はアメリカン・システムのファンだ」と述べていた

ここで「アメリカン・システム」という概念について、ほとんどの人が、気にも留めず聞き流すかもしれない。何かトランプ氏がフワッと、アメリカが好きだ、といった程度のことを言っているのではないか、と思ってしまうかもしれない。

PHOTO by Gettyimages
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しかし「アメリカン・システム」とは、19世紀にアメリカの経済システムを指してアメリカ人自身が使っていた、長い歴史を持つ確立された用語だ。その「アメリカン・システム」は、まさに高率関税によって製造業を保護・育成する経済政策のことであった。

トランプ大統領は、19世紀のアメリカを、最もアメリカが偉大だった時代、と呼んでいる。そしてマッキンリー大統領ら、19世紀に高率関税を推進する政策をとっていた大統領を、賞賛する発言をしてきている。かなり本気の19世紀「アメリカ・システム」のファンなのである。

巷では、トランプ大統領は、バカで、気まぐれで、首尾一貫性がない人物だと描写する評論家であふれている。そのように断定している方々は、トランプ大統領の「自分はアメリカ・システムのファン」といった発言をふまえたうえで、トランプ大統領を否定したりはしない。「とにかくトランプはバカだ、ただそれだけだ」といったことを繰り返している。

その際に基準となっているのは、評論家の方々の勝手なアメリカ大統領への期待だ。しかし、トランプ大統領は、なぜ自分の説明と自分の行動の一貫性をまず認めてもらえないのか。評論家の願望と自分との間のギャップで、揶揄され、否定されなければならないのか。

私はことさらトランプ大統領を擁護したいつもりでもない。だが、あまりにその場の雰囲気だけのトランプ大統領の揶揄だけを繰り返していると、やがて評価者のほうが現実から乖離してしまい、自分だけの独りよがりの世界に陥ってしまいがちになるのではないかと危惧する。日本の評論家層は、そして日本政府もまた、今、そのような危険に陥っているのではないだろうか?

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