「一番いいのは焼却炉で燃やして発電することです。PET樹脂の発熱量は1g当たり1万カロリーですから、計算すると、1kgで約3キロワット時の電力が得られます。リサイクルをすると、その工程で当然石油を消費します。その石油消費も抑えられるんです」
当たり前のように行われているペットボトルの分別回収だが、にっちもさっちもいきそうにない。ムダをなくしたければ、ペットボトルそのものを減らすしかないようだ。
いま、エコバッグはどれくらい普及しているのか。試しに平日の午後、都内・杉並区にあるスーパーで1時間ほどリサーチをすると、およそ5人のうち3人がエコバッグを持参していた。ただエコバッグを持っていながら、有料のレジ袋をもらう人も目立つ。レジ袋とエコバッグに品物をわけて入れ、両手に提げて店を出る人もいた。
1年間に約300億枚がゴミとして捨てられるレジ袋。その削減を目指して始められたレジ袋の有料化だが、なぜエコバッグを使いながらレジ袋を買う人が多いのか。神戸山手大学教授の中野加都子氏がその理由をこう語る。
「私が一般家庭を対象に行ったレジ袋に関するアンケート調査では、持ち帰ったレジ袋をどう使うかという質問に対して、約8割が『生ゴミを入れる』『ゴミ箱の内袋に使う』と回答。『利用しないで捨てる』と答えた人は1%もいませんでした。いろいろな用途に使えて何度もリユースできるレジ袋は、消費者から重宝がられているのです。
また、家庭からレジ袋がなくなったらどうするかと聞いたら、『小さなゴミ袋を買う』と答えた人が約6割。ただ、ゴミ袋よりレジ袋のほうが安い値段で売られていることがあるため、ゴミ袋用にレジ袋を購入するということが起きているようです」
エコバッグが普及しても、レジ袋の需要が変わらないとなれば、削減の目標は達成できないことになる。それ以上に「ゴミ袋がレジ袋に取って代わることは、環境にとって悪影響」と言うのは、中部大学総合工学研究所教授の武田邦彦氏だ。
「自治体から指定されるゴミ袋はサイズが大きく、レジ袋にくらべて、使用するポリエチレンの量が多い。ポリエチレンの原料は石油。自治体指定のゴミ袋に使われる石油の量は、レジ袋のおよそ3倍です。
ちなみに日本人が使う石油のうち、レジ袋を作るために使用しているのは微々たる量。それにくらべ、たとえば日本からヨーロッパに10日ほど旅行に行くことに使われる石油の量は、レジ袋を300年間使う分に相当する。旅行を1回我慢したほうがよっぽどエコなのです」

エコバッグのうち、ポリエステル製のものはエコではないという意見もある。社団法人プラスチック処理促進協会広報部長の神谷卓司氏が言う。
「製造過程で排出されるCO2の量をくらべると、エコバッグはレジ袋の約50倍。エコバッグの原料であるポリエステル生地を作る時、たくさんのCO2が排出されるし、1枚あたりの重量がエコバッグのほうが大きいからです。