2011.09.24

田原総一朗&浅川芳裕が農業経営者と語る「放射能と戦う福島の農業の実情」

『現代ビジネス@福島』キックオフ座談会VOL.1
田原さん、『農業経営者』副編集長・浅川芳裕さん、 「あおむしくらぶ」の鈴木光一さん「生木葉ファーム」の佐藤良治さん

司会: 現代ビジネスは「福島の問題を日本全体の問題として考えていきたい」ということで、9月22日から11月までの3ヵ月間、「現代ビジネス@福島」というテーマで編集拠点を福島県に移し、現場から情報発信をしていこうと考えています。

 その第一弾として、本日は「田原総一朗と福島で農業を考える車座ミーティング」と題して、田原総一朗さんと月刊『農業経営者』副編集長・浅川芳裕さんのお二方に郡山までお越しいただき、福島県内の農業経営者や農業関係者の方々を交えて福島県の農業を考えていこうと思います。

 田原さん、浅川さんのお二方に加えて、地元福島からはお二方の農業関係者にパネラーとして参加していただきました。お一人は「あおむしくらぶ」という農業経営の集まりに参加して農業経営の未来を模索しておられる鈴木光一さんです。また、もうお一人の方は生産農家でもあり野菜の販売もされている「生木葉ファーム」の佐藤良治さんです。

 それではみなさん、よろしくお願いします。

田原: では、早速ですが鈴木さんと佐藤さん、自己紹介を兼ねてどんなことをやってらっしゃるのかお話しください。

鈴木: 私は郡山市の大槻町というところで農業をしています。うちで作っているのが米で、これが6haです。それと野菜を100~200種類程度、少量多品目で作っていて、この畑が転作田を含めて2.6haです。主に直売ということで自宅に直売所もありますし、近くの直売コーナーなどでも販売しています。そういったところでの販売を主に、自分で作って自分で直売するというスタンスで経営しています。

 それから、郡山で専業農家をやっている20~40代の若手で構成されている郡山農業青年会議所という組織があるのですが、そこで「何とか自分たちが自慢できるようなブランド野菜を作ろう」と、今から8年ほど前から毎年一品ずつ新しいブランド野菜を作る活動がスタートしました。その野菜を先ほどご紹介いただきました「あおむしくらぶ」という組織で販売しています。

田原: ブランド野菜というと、たとえばどんな品種が有名ですか。

鈴木: 全国的に知られているかどうかはわからないのですが、今いちばん力を入れているのがニンジンです。冬場に出荷する「御前人参」という品種です。郡山市のほうからブランド認証をいただいていて、これがいちばん知名度のあるものですが、他にも今の時期では「グリーンスウィート」というとても甘くておいしい枝豆とか、これも糖度12度くらいになる甘いキャベツ、それとインゲン、ナス、ネギ、ホウレンソウなどを作っています。

 面積で言うと、だいたい郡山市内全体で8ha程度作っています。われわれが目指しているのは「内を見よう」ということで、郡山の人たちに「郡山でこれくらい自慢できるものが作られているんだよ」と認識していただきたいという目的です。東京をはじめ首都圏に出荷するのですが、まずは地元で認知してもらうことを第一に考えています。ですから、今のところは郡山市内全域と、あとは徐々にそこから外の地域にも出ているというのが現状です。

田原: わかりました。では、佐藤さんもお願いします。

佐藤: 私はいわき市で小さな農業生産法人を運営していまして、自社で運営する農産物の直売所と、それに隣接して生産圃場が1haほどあります。さらに、近傍の農家から野菜等をお預かりして委託販売等を行っています。

 先ほどご紹介いただいた「生木場ファーム」は体験農園型の直売所で、野菜類の生産や収穫をお客さんに体験していただいて、販売等も行っているような形式です。たとえば、イモ掘りやダイコンの引き抜き等いろいろなイベントを企画して、お客さんが自分で収穫した野菜をお買い上げいただくというような形で運営しています。

 「生木葉ファーム」は現在1店舗だけで、休日のみの営業でした。お客さんはだいたい40~50人程度で、4月から平日も営業しようと考えていた矢先に震災が起きてしまい、出荷制限ということもありまして、現在は営業を休止しています。出荷制限がかかりましたので、生産してもしょうがないということで、直売所ですから少量多品目で生産していたのですが、そのうちの一部が出荷停止ということになりますと、もう営業が成り立たない状況です。

「来年3月まで営業を休止することにしました」

田原: そこは原発から何kmくらい離れているのですか。

佐藤: 私のところは45km弱離れていますが、県内の野菜は4月上旬から出荷制限を受けています。生産してはいけないということではないのですが、私たちのところは従来から農薬や化学肥料を使わない栽培をしてきて、「安全」を売り物にしてきたわけですから、放射線の検査をする方法もなかったので、当然それは販売できないだろうということで、来年の3月まで営業を休止することにしました。

 消費者の意向としては、日常生活で外部被曝をしているので、自分の子どもたちに、これ以上汚染された食物を摂取させたくないというものだと思いますが、とくに私どものところでは農薬や化学肥料を使わずに生産していましたので、安全志向のお客さんが多かったんです。そこへ放射性物質の問題がありましたので、いろいろ質問攻めに合いまして、従来は日本農林規格の有機JAS法に準じた栽培法で生産していましたが、放射性物質に汚染されたのでは意味がなくなります。

田原: その出荷制限というのは、たとえば佐藤さんのところで扱っている農産物を実際に調べて「これはダメだ」ということになるのですか。

佐藤: 出荷制限は、いわき市ならいわき市で、官庁がたとえばホウレンソウをモニタリングして「500Bqを越えたので出荷を制限してください」というような指示なんです。当然それと同じ種類の野菜については、販売できなくなります。従来たとえば20品目の野菜を用意していたものが10品目に制限されるということになりますと、店舗としては成立しなくなります。そうなると休業せざるを得なくなります。

田原: なるほど。ではまた鈴木さんに伺いますが、先ほど伺ったブランド野菜ですが、相当放射能の被害を受けているのですか。

鈴木: 震災があった当時、ニンジンやキャベツ、ホウレンソウが出荷時期に当たっていまして、ニンジンについては出荷制限の対象にはならなかったのですが、キャベツとホウレンソウについては、直接的に出荷を控えるように指示されました。最初の水素爆発があって、空中に飛散した放射性物質が落ちてきたわけですから、キャベツやホウレンソウなどの葉物野菜に直接付着して線量が高くなったのだと思います。

田原: では、浅川さんに伺います。原発の事故で福島の農家の方々がこれだけ影響を受けていらっしゃるわけです。農業と放射能ってどういうふうに考えればいいんですか。

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