合併号特別企画 大研究シリーズ
ひと目で分かる「いい医者」「ダメな医者」
「肩書」なんて、当てになりません
「あの先生は教授だから安心」「いつも混んでいるからいい先生」・・・・・・その医者選び、間違いです。一体、いい医者をどう見分ければいいのか。なかなか聞けない患者の疑問を、医師たちにぶつけてみた。
看板を見ればわかる
このところ、食後にやたら胃がもたれるのが気になっていたAさん(63歳)。家の近所のクリニックで一度診てもらうことにした。
「内科・泌尿器科・皮膚科」と看板に書かれたそのクリニックにかかったことはなかったが、その前を通るたびに待合室には多くの患者の姿が見え、院長は某有名大学病院の元教授だったとの触れ込みも耳にしていた。
訪れたAさんの症状をひと通り聞いた院長は、
「不規則な食生活が原因ですかね。胃薬を出しておくので、とりあえず少し様子をみましょうか」とだけ言い、次の患者を呼んだ。Aさんは、最近は年齢のせいか、酒を飲む量も減り、和食を好むようになっていたので疑問を感じたが、忙しそうな医師にそれをわざわざ言うのも気がひけて、そのまま帰宅した。
その半年後である。Aさんは深夜に吐血をして救急病院へ運ばれた。精密検査の結果、胃に進行がんが見つかったのだ---。
これは極端な例としても、医者選びをひとつ間違えると、Aさんのような事態を招く危険性は誰にでもある。
Aさんは、混み合っている待合室と院長の経歴を信用して近所のクリニックを訪れたが、その判断は完全に誤っていた。
あなたは医者を選ぶとき、何を基準にしているだろうか。じつは、いい医者かダメな医者かを見分けることは可能だという。臨床経験が豊富な医師たちが教える見分け方のポイントを伝授していこう。
病院へ行く際に誰しもがチェックするのが、そのクリニックが何を専門としているか、だ。まずは病院の看板をチェックしてほしい。「内科・泌尿器科・皮膚科」などと、複数の科が書かれていたら、それらすべてを医師が専門としていると思うだろう。それは大きな間違いなのだ。
「病院やクリニックが看板に掲げている診療科目を標榜科目といいますが、じつはこれは好きなものを自由に挙げていいことになっています。内科医が、内科だけでなく、外科や皮膚科、さらには眼科や耳鼻科も看板に出しても構わない。要するに看板に書かれている科目すべてが医師の専門ではないということです」
そう言うのは、作家で医学博士の米山公啓氏。そもそも医者の国家資格は診療科目別になっていないため、医師免許さえ持っていれば、何科の診療でもできてしまうのである。それをいいことに、あれこれと診療科目を並べて必要以上に間口を広げる医者がいるが、