2012.02.15

中野香織 第2回「島地も騙された英国の英雄・ホレーショ・ホーンブロワーを知ってますか」

撮影:立木義浩

第1回はこちらをご覧ください。

シマジ ネルソン提督の伝記など読むと、やはりダンディズムの精神は英国には脈々と流れていたんでしょうね。

中野 そうでしょう。「ダンディズム」ということばじたいは19世紀の産物ですが、その精神の伝統は古くからあったと思います。

シマジ ネルソン提督は勇敢で紳士的な男で、いつも船上の目立つところに立って指揮していたそうです。

中野 ハデに人目をひく軍服を着て。だから撃たれたのですね。

シマジ ある戦いでネルソンが負傷して瀕死の重傷を負い、心配した軍医がいのいちばんに診ようとしたら、「わしはあとでいい。もっと重傷な兵士を診てやってくれ」と断ったという。

中野 そうそう。従軍牧師が招かれるほどの重傷でも、立ち直り再び船上で指揮を取ったりしていますね。

シマジ だから絶大な人気があったんでしょう。

中野 いまでもロンドンのトラファルガー広場に銅像が立っています。

シマジ あの銅像の鉄はみんなフランス軍が放った当時の大砲の球体の弾丸を集めて作ったんです。