シマジ そんなストーリーの小説を読んだことがありました。床屋の若いオヤジが外科を学ぶために、ロンドンからバクダッドまで苦労しながら旅する物語です。
中野 ルネサンスにしても、イスラム文化が保存していたギリシャ、ローマ時代の文化的な資料があったからこそ、それが原動力となって起こったようですね。
シマジ たしかに。イタリアは、とくに海洋都市は十字軍の兵士や物資の運搬をして、漁夫の利で稼いでいたのでしょう。恒産あっての恒心だと思います。
中野 しかしシマジさんは歴史好きですね。いちばん好きな歴史上の人物はどなたですか。
シマジ やっぱり中野教授も書かれていたウインストン・チャーチルかな。
中野 どういうところがお好きなんですか。
シマジ 逆境にめげないこと。彼の生涯は山あり谷ありです。それでいて人生訓として重要なことを言っています。「失敗を沢山繰り返しても情熱さえ失わなければ必ず成功する」みたいなことを言ってるでしょう。
中野 チャーチルはたしかに格言の名人ですよね。
シマジ そうですね。「民主主義は最悪のシステムだが、でもほかのシステムに比べたら、まだましである」なんて言い得て妙でしょう。
中野 「地獄を経験しているなら、そのまま突き進め」なんて最高です。言葉ばかりじゃなく、チャーチルはあらゆる面で、お洒落です。ロンドンのターンブル&アッサーのポルカドットの蝶ネクタイはトレードマークとしてカワユイし愛される要素があります。葉巻に関しても自分の名前を残すほどの逸話がありますね。
シマジ 高価な特注のシガーを1週間で100本吸ったと言われています。死して「チャーチル」というシガーのサイズを残したんです。いまロミオ&ジュリエッタという銘柄で売られていますが、そのバリエーションでショート・チャーチルやワイド・チャーチルとして売られています。わたしはよくショート・チャーチルを吸っています。
中野 シャンパンにも名を残していますね。
シマジ ポール&ロジェにありますね。
中野 チャーチルは豪語しています。「わたしの好みは単純だ。なんでもいちばんいいものしか好まない」シマジさんもそうじゃないですか。