2012.04.03

食品に含まれる放射性セシウムの新基準値施行のタイミングで「大地を守る会」戎谷徹也さんに聞く

文:山田まさる

 2012年4月1日から食品に含まれる放射性セシウムの新基準値が施行される。野菜や米穀類や肉魚などは、これまでの1kgあたり500ベクレル(Bq)から100ベクレル(Bq)に引き下げられる。 

「大地を守る会」戎谷徹也さん

 但し、いま日本の流通の現場では、今回、国が改めて提示した基準とは異なる自主基準が設けられているケースは少なくない。

 この1年、流通の立場から生産者と消費者の狭間で、関係維持、回復につとめてきた「大地を守る会」の事業戦略部で放射能対策を担当する戎谷徹也さんに話を聞いた。

3.11発生直後の混乱

 少し「大地を守る会」について、説明をしておきたい。同社は1975に年設立された日本初の有機農産物の宅配サービス事業会社で、現在の利用者数は約136,000人(2011年12月末)で、レストラン事業やマルシェ事業、自然住宅事業なども手掛けている。いわゆる会員制宅配サービスの中でも、「日本の第一次産業を守り育てること」「人々の健康と生命を守ること」「持続可能な社会を創ること」を強く打ち出している。

 こういうビジョンを掲げる「大地を守る会」だからこそ、その利用者は、環境問題や健康に対する意識は高く、当然、食品の安全性についてシビアである。原発事故の翌日から、「大地を守る会」では、会員からの問い合わせ数は1日1000件を超えたという。

「混乱というか、パニックというか。毎日、問い合わせや対応策の検討に追われました。当会のシステムでは、大根なら大根として注文いただくわけで、複数の生産地から届く野菜については"どこで獲れた大根"と生産地までは指定できません。ですから、お客様(会員)からすれば、福島や北関東の農産物が含まれているのかどうかが気になるわけです。もし、福島や北関東の農作物が届く可能性があるのなら買いたくない、そういう声がほとんどでした。」

 このままでは、被災地の農産物だけではなく、全国の契約農家から仕入れている野菜や果物全体が販売不振に陥ることになりかねないと危機感が募る。実際に、昨年の4月5月、「大地を守る会」の売上は大きく落ち込むことになる。

 そんな中で、戎谷さんはじめ大地を守る会のメンバーは、北関東や福島、宮城の生産者とも話し合うことになる。

「通常は、約半年前には農家とあらかじめ設定した量と価格で作付け契約を結んでおいて、収穫した農作物を仕入れています。ところが、この状況では契約通りの量を買い付けることはできないと判断しました。4月下旬から、私たち仕入部署の担当者は、厳しい生産地まわりをはじめます。その時、提示できた数量は、平均して予定量の3割減ぐらいだったと思います。農家の方からすれば、"国の定めた規制値を下回っているのになぜ、約束通りに買ってくれないのか。これこそ風評被害だ"と弾じられました。あのとき、農家の方から浴びせられた罵声はいまも耳の奥に残っています」

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