2012.05.01

フォトルポ 稚魚・シラスウナギの大不漁で高騰。庶民の口に入りづらくなったスタミナ食に朗報!「バカ高」鰻重を安く!〝どこでもウナギ養殖〟の画期的技術

フライデー プロフィール
好適環境水を作る"魔法の粉"は特許申請中。原始の海水に着眼して作られ、淡水、海水両方の魚に使える

 だが、岡山市にある岡山理科大学工学部バイオ・応用化学科の山本俊政准教授(53)の研究は、そんな"ウナギ不足"に一石を投じるものとなろう。同大学の生命動物教育センターの2tの水槽には、まだ細く小さいが、ウナギと分かる形まで育ったシラスウナギが所狭しと泳ぎ回っている。山本氏が説明する。

「ニホンウナギの養殖に乗り出したのは、今年3月のことです。二つの水槽に計6500匹が養殖されています。育て始めた頃には5cm前後でしたが、1ヵ月ほどで約6~8cmに成長しました。随分、長さや太さの面で個体差が出てきています。これから6~8ヵ月、遅くとも10ヵ月で出荷できるサイズになるでしょう。約200gまで大きくなれば出荷できます」

 三井金属総合研究所でレアメタル、レアアースを研究していた山本氏は、沖縄美ら海水族館や新江ノ島水族館の設備プロデュースを行ってきた。岡山理科大のウナギたちは、そんな山本氏が考案した、まったく新しい方法で養殖されている。

研究所に到着したばかりの頃のシラスウナギ(ウナギの稚魚)。今後、成長すれば40tの水槽に移す予定だという

「卵から育てる技術は農学部の領域でしょうが、バイオ技術を使った濾過となると私の専門分野です。日本のウナギ養殖はハウスで行われ、地下水を使いますが、水温を30℃前後に保つため重油を使います。先日、(東京の)丸の内で鰻重を食べましたが3500円ですよ!シラスウナギの価格が高騰している上、燃料の代金も反映されるとなると、この夏、間違いなく消費者のウナギ離れが起きます。

 私が開発した養殖方法では、水を換えずに循環させますから、まず水のコストが削減できる。その際、重要なのは『好適環境水』を使うことにあります。私はウナギ以外の魚の養殖も手掛けており、この研究を始めて7年が経ちますが、一度たりとも魚に病気を出したことがないんです。また、年間数千万円という燃料(重油)代はかからず、水槽一つあたりの電気代は月に6万円程度です」(山本氏)

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 山本氏の説明によると、「好適環境水」とは、海水の中に入っている約60の成分のうち本当に必要な物質だけを残したものだといい、山本氏が開発した濾過装置は、好適環境水の必要な成分を損なわずに水を綺麗にするという。何より、この水を使った養殖方法は、「山奥だろうが砂漠だろうが養殖が可能」(山本氏)なのだ。

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