2012.05.09

磯田道史 第1回 「誰よりも古文書を愛し歴史をきわめた研究者が、誰よりも遊び込んだシマジに説いて聞かせる江戸時代の教育力と技術力」

島地 勝彦 プロフィール

瀬尾 そろそろネスプレッソ・ブレイク・タイムにしましょうか。

シマジ 瀬尾、いくら何でもまだ早い。いまはじまったばかりだ。

瀬尾 ぼく、喉が渇いてしまった。

シマジ 水でも飲んでな。磯田教授に以前お訊きしましたが、江戸の人たちの教育の水準っていまより高かったようですね。

磯田 文化系に特化した人たちの分野では、いまの学者は到底敵わないでしょう。いまの人がピアノを習うように、そこそこの家では幼少のころから四書五経を意味もわからず暗記させられた。

シマジ よくあんな暗い行燈で字が読めましたね。

磯田 いまより字がかなり大きかったですから、読もうと思えば読めたんでしょう。まあ江戸の人は電気がないから夜は暗くなるとすぐ寝たようです。だから朝が早かった。

シマジ 確かに電気がないからテレビもない。時間はありあまるくらいあったから、勉強する人は勉学に励んだでしょうね。

磯田 その深い教養こそが明治になって華が咲き、外国の植民地にならずに済んだのでしょう。

シマジ 本物の教養って武器になるんですね。

磯田 日本には大槻文彦の作った国語辞典、言海があったから、英国人は自分の国のオックスフォード大辞典と比較し、アメリカ人はウエブスターと比較して日本人の教養の深さを実感したんでしょう。

シマジ たしかに国語辞典は国の誇りだよね。