2012.06.06
# サッカー

二宮寿朗「アジア進出のメリット」

~Jリーグの未来像<前編>~
二宮 寿朗 プロフィール

今こそ進出のチャンス

 アジア進出を加速させる目的は、経済発展に伴い、プロサッカーリーグへの投資が増えていることと無関係ではない。特に中国スーパーリーグは、ニコラ・アネルカら欧州の人気選手まで目を向けるようになった。ディディエ・ドログバの獲得報道も世界を賑わしている。タイ・プレミアリーグも資金が入ってくるようになってきた。Jリーグの国外進出はアジア人がアジアのプロサッカーを見る時代が近づいていると予測しての行動である。

「中国やタイばかりでなく、経済成長によってフットボールマネーがアジアのなかで回るような兆しがある。そういう環境のなかで真っ先にJリーグがアジアに手をつけたいというのは、ある種、当然の考え方だと思うんです。ひょっとしたら世界サッカーのブロック化現象が起こってくるかもしれない。アジアのフットボールマネーが回るなかで、Jリーグが存在感を発揮するためにも今のうちから種をまいて、露出を高めていく必要がある。

 今、急速に力をつけている中国スーパーリーグはJリーグにとって確かに脅威ですよ。でも彼らはアジアサッカーを盛り上げる仲間でもある。アジアチャンピオンズリーグ(ACL)が面白いとアジアのなかでもっと認知されていけば、それがアジア全体のサッカービジネスにいい影響をもたらすことになるのではないでしょうか」(中西氏)

 Jリーグのクラブ数がJ1で18、J2で22に増え、ひとつのクラブが手にする50億円の国内放映権料の配分は少なくなった。当然ながら「分母」の配分方法をどうするかという論議はあるだろうが、むしろ「分母」を増やそうとする戦略が必要である。地道な活動を続けてアジアにおけるJリーグのブランド力が高まっていけば、放映権ビジネスにつながる可能性も出てくるだろう。今年、ACLではJリーグから出場した4チームすべてがラウンド16までに姿を消してしまい、その対策も考えていかなければならないが……。

 秋春制移行問題、各クラブの苦しい経営状況、若いタレントの海外流出……内に目を向ければJリーグに課題は山ほどある。しかし、中国が日本サッカーを学ぼうとする姿勢を見せるなど、アジアからJリーグに熱い視線が向けられている。そんな今こそ、アジアに打って出る最高のタイミングであることは間違いない。中国スーパーリーグや韓国Kリーグは八百長問題が尾を引いている。クリーンなJリーグの存在をアジアに轟かせるチャンスが、到来しているのだ。

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