シリーズ「スタートアップの肖像」 vol.1
スペイン語学習サービス「スパニッシモ」創業者 有村拓朗

ソーシャルウェブを始めとする新しいテクノロジーは、「スタートアップ」と呼ばれる新興企業を続々と生み出している。日本のみならず、世界中でスタートアップ企業が増加しており、著名なテックメディア「TechCrunch」は「スタートアップのカンブリア爆発」という表現でこの時代を語っている。
本取材シリーズでは、「スタートアップ」に関わる人材たちはいったい何を考え、どのようにしてイノベーションを起こそうとしているのかを解き明かしていく。シリーズ第一弾として、世界一周の最中に起業するという稀有な取り組みを行っている、「スパニッシモ」創業者の有村拓朗さんのお話を伺った。

世界一周中に発見したビジネスの種
「スパニッシモ」は、グアテマラのスペイン語教師から、スペイン語会話のレッスンをSkype経由で受けることができるサービスだ。物価の安いグアテマラを拠点にしているため、 50分500円~という破格の価格でレッスンを提供している。現在のところ、1レッスン500円という価格は、業界最安値のマンツーマンスペイン語レッスンとのことだ。
---世界一周中に起業したというお話ですが、起業に至った経緯をぜひ教えて下さい。
シェアハウスをしている新卒2年目のとき、住人と将来について話をしていて、自分のこれからについて考えました。そして、その年の夏に会社を辞めることを決めて、仲間と一緒に世界一周プロジェクトの企画を始めました。
どうせ世界一周に行くのだから、ビジネスの種も見つけたい。そのためには、単に観光しに行くだけでは不十分だと思いました。旅をしながらその国の現状を直視し、課題を見つけていくにはどうしたらいいか。いろいろ調べていくと、どうやら「JICA」がマジですごいらしい、中南米に多くの支社を持っていて、現地の事情に詳しいらしい、ということが分かりました。
ならば、JICAのプロジェクトを見せてもらうことができれば、自分たちの勉強になるのではないか。そう考えて、JICAのプロジェクトを現地取材して自分たちのウェブサイトにアップしていく、という企画を始めました。こういう企画はたぶん民間では初めてだと思います。
プロジェクトでは期待通り、いろいろな国の実情を見ることができました。メキシコから入ってパナマまで来たとき、同行した吉川(後にスパニッシモを共同創業)と一緒に、改めて「心に残ったものは何?」と考えました。
そのとき、二人の意見が一致したのが「グアテマラの先生たち」。2011年の3月〜6月末までグアテマラにいたのですが、先生たちと触れ合う中で、さまざまなことが見えてきたんです。