
辞めることは考えていないが、仮に今辞めてもそれほど悔いを残すことはない。それだけの野球人生を送ってきた自負はある。
「まあ、2000本安打まであと30本ぐらいだから、それは狙えるかな。3000試合出場ですか。ケガせずにやればあと2シーズンぐらいですね。野村さんの記録(3017)を抜いてみるのも面白いかな。捕手の記録はほとんど野村さんですからね。でも、オレが抜いたら、そのときも『オレでいいの?』って思うでしょうね」
年代によって考え方は変わってきたが、一つだけ変わらないことがある。
「野球が好きだっていうこと。これは変わりません。特に35歳を過ぎるあたりからは、自分の仕事は野球しかない、野球をやっていないと自分自身が生きないって思うようになった。好きで、自分を生かす道。それがオレにとっての野球なんです」
文|阿部珠樹 撮影|熊谷貫
「フライデー」2012年10月26日号より