2012.11.02
# 本

『日本をダメにしたB層の研究』著者:適菜収
なぜ日本人は「参加」したがるのか? 【後篇】

 たとえば、神奈川県知事の黒岩祐治。私は以前から完全にあちら側の世界の住人として注目していました。

 『ニーチェの警鐘』でも書きましたが、二〇一一年の知事選の際、彼は「四年間で二〇〇万戸分の太陽光パネル設置」を公約として掲げました。

 もちろん、それが不可能であることはサルでもわかります。同年三月一一日に発生した東日本大震災および福島第一原子力発電所事故による社会混乱に便乗した悪質な詐欺です。

 ところが、この詐欺師が知事になってしまった。これが今の日本社会です。

 同年一〇月、記者団が公約の不履行を追及すると、黒岩は「あのメッセージは役割を終えた。忘れてほしい」と返答します。

 小泉純一郎も民主党も、公約の不履行をごまかしましたが、「忘れてほしい」というのは前代未聞です。わが国の政治腐敗が新たな段階に入ったということだと思います。

 この黒岩が今度は「日本から神奈川県を独立させる」と言い出しました。

 特区制度を全県に活用し、労働、医療、産業などの分野で規制を徹底的に緩和し、県を「自治政府」とも言うべきものにしたい。
(中略)
いわば日本の中の「外国」を作る。(二〇一一年一二月に指定を受けた)京浜臨海部の国際戦略総合特区を一つの起爆剤にしながら、全県的に規制緩和が実施できるようにする。財政の自立が大きなポイントで、税の徴収権を持つことになる。(『読売新聞』二〇一二年四月二五日)

 与太だとしても放っておいていいレベルではありません。これは領土内における国権の問題です。これが本当の痴呆自治であり、痴呆分権です。

 バカに権力を渡すとロクなことになりません。

現代人の《未来信仰》

 賢者の言葉を紹介した本が売れています。

 ゲーテやニーチェ、フランツ・カフカ(一八八三~一九二四年)といった先人の言葉をコンパクトにまとめたものが多い。こうした中、巷でよく聞かれるのが、「ゲーテは今から二〇〇年も前の人なのにこんなにすごいことを言っていたのか。驚きました」「ゲーテの言葉は今の世の中でも十分に通用しますね」といった類いの反応です。

 はっきり言ってうんざりします。

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