2012.12.01

不真面目に働いている僕の真面目な起業家研究

『僕たちの前途』によせて
古市 憲寿 プロフィール

 そして友人と会社を経営しているというのも、多くの「若者」とは違うところだ。

 起業家といえばホリエモンなど「若者」というイメージがあるが、データによれば起業をするのは中高年。若年層の起業は、昔に比べてずっと減っていることがわかっている。

 2010年の国勢調査によれば、働く20代の実に91・4%は誰かに雇われる雇用者だ。会社役員と自営業者は合わせて2%にも満たない。多くの若者はいまだに会社に所属して、社畜としてバリバリ働いていることがわかる。

 それに引き替え僕はといえば、夕方まで12時間以上寝ていることも珍しくないし、気が向いた時にふらっと海外にも行く。いくつかの取材や対談をこなして「ああ、今日はだいぶ働いたな」と思った時でも労働時間は、せいぜい6時間。

 時には「社会学者」として政府の会議に出たり、「大学院生」として大学のゼミで議論をしたり、「会社役員」として社長の話し相手になったり、ふらふらとした毎日を送っている。

 嫌な言い方をすれば、僕は「絶望の国の幸福な若者たち」よりも、もっと幸せだ。

「若者」一般のことはもちろんデータや取材などで把握はしているが、彼らの気持ちが完全にわかるわけではない。「なんでこんな生活で若者は満足できるのだろう」と思うこともある。

 そこで新刊の『僕たちの前途』では、若者全般のことではなくて、「僕たち」が住む起業家世界のことを描いた。「前途」というのは、僕が友人と働く「ゼント」という会社であり、将来を意味する「前途」でもある。

 僕がよく一緒に仕事をする人たちは、だいぶバラエティーに富んでいる。

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