2012.12.02

國分功一郎(気鋭のイケメン哲学者)に聞く「せっかちにならない生き方」

フライデー プロフィール

「あれも、これも」をやめる

「現代はそれが難しい社会です。企業や広告代理店は、何とか需要を生み出そうと、テレビCMや雑誌の広告で、『あれも楽しい、これも楽しい』とアピールしてきます。家電なんかでも、すばらしいスペックを強調してきますよね。だから、みんな『あれも、これも』とせっかちに楽しもうとする。そこに〝退屈〟が忍び込むのです」

 では、その徹底的に楽しむべき対象をどう見つければいいのだろうか。

「そこでもせっかちになっては駄目です。例えば、大量の習い事を紹介するカタログというのがありますね。あれは、個人的な楽しみですらパッケージ化できるという考えで作られている。しかし、人間が、一足飛びに、自分にぴったりの楽しみを見つけられるはずがない。それに、何かを楽しむには必ず発見や訓練が必要になります。教育はもともと何かを楽しむためのトレーニングでした。音楽を勉強するから音楽が楽しめるようになる。あるいは、美味しいものを食べているから様々な味が楽しめるようになる。現代はその視点が失われています」

 学生の就職についても同じようなことが言えるという。

「就職活動ビジネスの煽りを受けて、学生はせっかちに〝やりたいこと〟や、〝自分にぴったりの仕事〟を探さなければならないと思っているところがある。そんな時、人間は考え続けるのがつらいから、『これが自分にぴったりのものだ』と一足飛びに決めつけてしまいがちです。結果を急ぐあまり、一度行った〝決断〟を絶対視して、他の可能性を遮断している。これは危険。難しいかもしれませんが、ヒントを見つけながら、ゆっくりと考えていくことが大切ですね」

 せっかちにならず、一つのものを楽しみながらも、他の可能性を許容していく。

「僕の場合も、『哲学で食べて行こう』と決めたのは30歳くらいになってからです。それまでの自分を振り返って、『やっぱり俺は哲学が好きなんだ』と思ったからですね。青臭いですが、世の中の人がみんな、それくらいの余裕を持って、じっくりと〝楽しむ〟ことや自分の好きなことについて考えられる社会を作らなければいけないと思っています」

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