2013.01.09

坂村健 第1回 「あのトロンを開発した天才学者とIT音痴のシマジの不思議な友情」

島地 勝彦 プロフィール

セオ たいがいの電化製品にはトロンが入っていますから、おそらくこれにも入っているんでしょうね。

シマジ タッチャン、坂村教授が偉いのは、自分で苦労して開発したトロンをなんとタダで全世界的に使わせているんだよ。おれだったら、1件につき1円でもらっておいたね。そうしたらいい小遣い稼ぎになったと思うんだがね。

セオ 1円もらったとしたら、教授は巨万の富を稼いだことでしょう。

シマジ そこがビル・ゲイツとちがうところなんだ。

坂村 いやいや、トロンはタダだからこんなに普及したんでしょう。

セオ いまでもトロンは改良されているんですか。

坂村 ますます使いやすくするために、研究所で日夜改良を重ねています。

 

シマジ もしノーベル賞にコンピュータ部門があったら、いの一番に坂村健は受賞するところだろうね。

立木 ノーベル賞にはコンピュータ科学者は含まれていないのか。それは知らなかった。

シマジ そうなんだよ。あれは意外と古い概念の賞なんだ。いまや文学よりコンピュータの時代だというのに。教授、今日改めて訊きますが、トロンって何ですか。

坂村 トロンというのはマイクロコンピュータを制御するソフトウェアですから、目にはみえません。