撮影:立木義浩
第1回はこちらをご覧ください。
シマジ 教授は先日、『毛沢東の赤ワイン』という本をものされましたが、近頃は中国によく行かれるようですね。
坂村 はい、中国は香港も含めて何度も行っています。香港では、買収した本土の工場の地下の壁に埋めてあったという、どれぐらい古いかわからない、もしかしたら100年以上という、いわくつきの老酒を飲ませていただいたことがありますが、それはじつに美味かったですね。
なぜいま中国人が新しい老酒に干した梅を入れて飲んでるのか、それでわかりました。そういうとても古い瓶入り老酒には、梅のニュアンスがほのかに感じられる。だからそれを再現するために、先人の知恵として干し梅を入れるんじゃないでしょうか。
シマジ なるほど。ワインは100年も保たないけど、老酒は熟成し続けるんですね。
坂村 人間もコンピュータも時間をかけて熟成させるといいものになるんです。トロンだってあと2年で世に出てから30年になりますから、いい状態に熟成してきてますよ。シマジさんだっていい具合に熟成してるじゃないですか。
立木 いやいや、シマジはまだまだ生臭いよ。
坂村 そうですか?