2013.02.02

高齢者は保険より貯金すべし! がんへの備えに本当に必要なものは何か
がん保険のカラクリ【第5回】 文/岩瀬大輔

 さらに、病気がちな人から健康な人へのリスク移転も可能だからである(公的健康保険では過去に病気をしたからといって保険料は上がらない)。これに対して民間保険では、加入者間の公平性の観点から、このような所得の再分配やリスクの移転を行うことができない。

 結局、保険を含めて、万能の備えなどというものはない。どこまでいっても私たちの人生から不確実性を取り除くことはできないし、それを部分的にでもやろうとするとコストは高くつく。ひとつ確実なのは、我々は皆老いるし、老いたら体は弱くなり、病気をし、高い確率でがんに罹るということである。だとすれば、がんという病気に関する正しい知識を身につけ、健康な生活を心がけ、定期検診を受診し、ある程度の貯蓄をしておくことこそが、がんに対する最高の「保険」なのである。

〈了〉

 
◆ 内容紹介
いざという時、役に立つのか? 複雑すぎて専門家でさえ比較できないというがん保険。本当に2人に1人が罹る病気なのか? 実際にいくら治療費が必要か? 『生命保険のカラクリ』で生保業界のウラを詳らかにした著者が、今回明らかにするのは「医療保険のカラクリ」。正確な知識を持てば、いたずらに不安にから れることなく、自分に合った賢い選択ができると説く。民間の医療保険が抱える問題、公的医療保険との関係についても言及。すべての日本人が知っておくべき 医療保険、がん保険のイロハを教えます。
岩瀬 大輔
1976年生まれ。東京大学法学部在学中に司法試験に合格。1998年卒業後、ボストン・コンサルティング・グループなどを経てハーバード経営大学院に留学。帰国後、ライフネット生命保険設立に参画。現在、代表取締役副社長。著書に『金融資本主義を超えて』(文春文庫)、『生命保険のカラクリ』(文春新書)、『ネットで生保を売ろう!』(文藝春秋)、『入社1年目の教科書』(ダイヤモンド社)、『入社10年目の羅針盤』(PHP研究所)などがある。

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