2013.02.25

[自転車競技]
白戸太朗「日本人が世界に勝つためには?」

スポーツコミュニケーションズ

国内レースのレベルアップを!

TVカメラも来るなど、注目も高かった

 資金集め、スポンサーの件に関しても、選手の層を厚くしていくことに関しても、やはり国内におけるロードレースに対する理解と認知が深まらない限りは難しい。これは関係者全員が痛感していることだ。「そのためにいいレースが必要なのです」と浅田氏。強化として見ても、「ロードレースはレースこそが最高のトレーニング」と言われる。レベルの高いレースをこなして、身体的にはもちろん、戦略、勝負勘などを身につけていく。さらにそういうレースを多くの人に見てもらい、ロードレースの魅力に気付いてもらうことが大切。そのためには、人知れず山の中で走るだけではなく、街中で走るレースも必要だ。ロードレースの魅力は、普段「生活道路」として使っている道が「レース会場」になること。それだけ生活に近いということが大切なのだ。

 また、街中で行うことで多くの観客の目にさらされる。だからこそ、選手たちの自覚も促され、より鼓舞されるのだ。そう、観客こそが選手を育てるのである。ただ、日本の道路事情を考えると、このような街中でのレースを開催するのは容易なことではない。だからこそ現在、大阪や東京で行われているツアー・オブ・ジャパンのようなレースが重要なのだ。

 国内のレースについて、浅田氏は厳しい言葉を投げかける。「レベルをもっと高いものにしてほしい。厳しいレースが本物の選手を育てるのです」。レースも選手も既成概念に縛られることなく、新しいチャレンジと高い志がない限り、先行しているものに追いつくことはない。よく考えると、これはロードレースだけのことではない。スポーツすべて、いや社会でも同じことだろう。

 今、世界では長年君臨してきたスポーツが窮地に立たされているケースが少なくない。もう一度、こんな「既成概念に縛られることのない、新しいチャレンジと高い志」に立ち返って進んでいく気概を指導者達は持ってほしい。そういう意味では、「ロードレースはまだまだ楽しみな種目」と言えるのかもしれない。ロードレースの未来が、少し楽しみになったセミナーだった。

<白戸太朗(しらと・たろう)プロフィール>
スポーツナビゲーター&プロトライアスリート。日本人として最初にトライアスロンワールドカップを転戦し、その後はアイアンマン(ロングディスタンス)へ転向、息の長い活動を続ける。近年はアドベンチャーレースへも積極的に参加、世界中を転戦している。スカイパーフェクTV(J Sports)のレギュラーキャスターをつとめるなど、スポーツを多角的に説くナビゲータとして活躍中。08年11月、トライアスロンを国内に普及、発展させていくための新会社「株式会社アスロニア」の代表取締役に就任。この1月に石田淳氏との共著で『挫けない力 逆境に負けないセルフマネジメント術』(清流出版)を出版。
>>白戸太朗オフィシャルサイト
>>株式会社アスロニア ホームページ

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