2013.04.04
# エンタメ

iTunes音楽の中古売買に違法判決

〔PHOTO〕gettyimages

 米国でデジタル音楽の中古売買サービスに違法判決が下された。

●"A Setback for Resellers of Digital Products"
The New York Times, April 1, 2013

 裁判(一審)に敗れたのは、「ReDigi」という米国のベンチャー企業。同社は、アップルのiTunesから発売(配信)されたデジタル音楽の中古売買サービスを手掛けている。要するにiTunesから一旦音楽を買ったユーザーが、それを聞き飽きたら別の誰かに売るための中古市場を提供する業者だ。

 中古とは言ってもデジタル音楽であるからには品質の劣化は全くない。それが「中古品」として安く売られれば、そもそも「新品の」音楽を買う人が激減する可能性が高い。これを恐れた米主要レコード会社の一つ、Capitol Recordsが昨年1月、著作権侵害を理由にReDigiを提訴していた。

電子書籍も含めコンテンツ産業全域に多大な影響

 仮にデジタル音楽で中古売買が許されるとなれば、いずれは電子書籍など他のデジタル・コンテンツにも波及するのは必至。しかもコンテンツ配信事業を手掛ける、アマゾンとアップル自身が同様の中古サービスを検討中と見られている(『AmazonやAppleが準備する「電子コンテンツの中古市場」とその対策』参照)。

 もしもReDigiのサービスに合法との司法判断が下されれば、この2大IT企業がコンテンツの中古売買に乗り出すかもしれない。となれば、音楽や出版産業に与える影響は計り知れないほど大きい。このため業界関係者は今回の裁判の行方を注視していた。

 そうした中、今週始めに下された判決は、一先ずコンテンツ業界関係者が胸を撫で下ろす内容だった。今回の訴訟を扱ったニューヨークの連邦地裁判事は、被告ReDigi側の主張を全て却下し、同社のサービスを著作権侵害と判定した。その理由として挙げたのが、同社サービスの基本的メカニズムだ。

 ReDigiの中古売買市場では、まずユーザーが手持ちのデジタル音楽を同社のクラウド(サーバー)上にアップする(この時点で、ユーザーのパソコンの記憶装置からは、その音楽が消去される)。一旦そうしておいて、もしも買い手がついたら、その音楽かReDigiのクラウドから買い手へと送られ、クラウド上の音楽は消去される。これで中古音楽の売買が成立したことになる。

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