2013.05.13
# 本

『対中戦略 無益な戦争を回避するために』(近藤大介著)
~第2章「中国の野望」より一部抜粋~

「自分がナンバーワン」でなければ気が済まない国民性

 次に、「中華民族の偉大なる復興という"中国夢"」の内容について見ていこう。広大な中国大陸に巣くう中国人は、「中国」(中心の国、中央の国)という国名や、「中華」(中心の華、中央の華)という民族名からも明らかなように、自分が常にナンバーワンで中心に君臨していないと気が済まない人々である。中華思想の国においては、日本の某民主党政治家が吐いたような、「2番ではダメなんですか?」という愚問は通用しないのだ。

 なぜなら中国社会というのは、皆で平等に分け与えるのではなくて、ナンバーワンが総取りするのが掟だからだ。会社は社長一人のもので、国家は皇帝(いまなら共産党総書記)一人のものなのである。憲法第2条で「中華人民共和国のすべての権力は人民に属する」と定めているが、これは「人民(の代表である共産党総書記)に属する」という省略があると考えるのが正しい憲法解釈だ。

 ともあれ、習近平総書記が述べる「中華民族の偉大なる復興という"中国夢"」とは、1840年以前の形へと、「東アジアの形」を戻すという意味である。もう少し"意訳"すると、次のようになる。

 「中国は2021年に、日本その他の国々を凌いで、アジアでナンバーワンの強国としてアジアに君臨する。そして2049年に、アメリカを凌いで世界ナンバーワンの強国として世界に君臨する。そうして、中華民族の偉大なる復興という"中国夢"を果たすのだ」

 これこそが、中国の中長期的目標であり、習近平総書記のホンネなのである。

『対中戦略 無益な戦争を回避するために』
著者=近藤大介
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 2012年11月の第18回共産党大会で、2021年までの中期目標としてはっきり掲げた数値目標は、2010年比で国民の平均所得を倍増するということだ。この目標達成のためには、毎年最低7%ずつ給与が上昇していかねばならない。実際、2013年正月には北京市の最低賃金が、月1260元から1400元に11%もハネ上がった。

 2021年はまた、中国はGDPでアメリカを超え、世界一の経済大国になると、密かに期待している年でもある。2012年暮れにOECD(経済開発協力機構)が発表した世界経済長期予測によれば、中国は2016年にもアメリカを抜いて世界一の経済大国になるという。2030年の時点で、世界に占めるGDPの割合は、1位の中国が28%、2位のアメリカが18%、そして日本はわずか4%である。

 中国は、2010年に日本を追い抜いて世界第2の経済大国になった時、「経済大国から経済強国へ」と目標を変えた。つまり今後は、経済規模だけを拡大するのでなく、欧米日の先進諸国のような世界に冠たる独自ブランドや最先端技術を確立していくとしたのだった。

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