2013.05.13
# 本

『対中戦略 無益な戦争を回避するために』(近藤大介著)
~第2章「中国の野望」より一部抜粋~

 だが、独自ブランドの創出には、世界に通用する文化の発展が不可欠だ。ところが文化の発展には、2つの要素---豊富な資金と創造の自由が必須となる。中国には資金力はあるが、憲法第35条で「中華人民共和国の公民は、言論、出版、集会、結社、行進及び示威の自由を有する」と明記してあるにもかかわらず、「表現の自由」を実際は認めていない。このため、自由な創作活動ができず、世界に通用する文化、ブランドがなかなか発展しない。

 最先端技術に関しては、日本の「100年企業」を見ても分かるように、長年にわたる地道な研究が不可欠である。ところが中国人経営者は「明日のための研究より今日の成果」を求めるし、従業員たちも愛社精神など無きに等しく、自己のキャリアアップに余念がない。つまり最先端技術が熟成する土壌が整っていないのである。

 そこで結局、中国にとっての「経済強国の道」とは、「経済規模の拡大」プラス「ブランドや技術の買収」という方向へ向かっていくことになる。

目標達成率は87パーセント

 さて、中国にはもう一つ、「短期的目標」も存在する。日本のような一年単位の予算目標もあり、首相が毎年3月5日の全国人民代表大会(国会)の初日に発表する。だが、より明確に定めているのは、いまから2年後の2015年末までの目標である。2015年は中国風に言うと、「第12次5ヵ年計画完遂の年」にあたる。

 社会主義国である中国は、5年ごとに「5ヵ年計画」を定めていて、西暦の末尾が「1」の年と「6」の年が開始の年で、「5」の年と「0」の年が終了の年である。

 中国の「5ヵ年計画」は、かつての日本の民主党のマニフェストのような「絵に描いた餅」ではなくて、そのほとんどがきちんと達成されている。しかも、目標はかなりきつめに設定されているにもかかわらずだ。ちなみに第11次5ヵ年計画では、数字目標を定めた23項目中、20項目を達成した。達成率87%なので、相当成績はよい。

 現在遂行中の第12次5ヵ年計画(2011年~2015年)は、「国民経済と社会発展の第12次5ヵ年計画要綱」という全62章117ページから成る要綱にまとめられている。

 この要綱は、2015年末までに達成すべき「7大目標」を定めている。その骨子は、次のようなものだ。

目標① 経済の平穏で比較的早い発展
GDPの年平均成長を7%とし、都市部の新たな就業者数を4500万人とし、都市の失業率を5%以内に抑える。物価の水準を基本的に安定させ、国際収支を基本的にバランスの取れたものにし、経済成長の質と効率を飛躍的に向上させる。

目標② 社会システムの大いなる進展
市民の消費能力を高める。農業の基礎をさらに堅固なものとし、工業のシステムを先端化し、戦略的な新興産業の大いなる発展を図る。サービス産業(第3次産業)の比率を4%上げ、都市化比率も4%上げ、都市部と農村部の協調を増強させる。

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