2013.05.13
# 本

『対中戦略 無益な戦争を回避するために』(近藤大介著)
~第2章「中国の野望」より一部抜粋~

目標③ 科学教育水準の著しい向上
9年制義務教育の質を向上させ、9年制義務教育の就学率を93%まで高める。高校進学率も87%まで高める。研究開発費をGDPの2.2%まで高め、1万人あたりの発明特許保有件数も3.3件まで高める。

目標④ 資源の節約と環境保護の進展
耕地面積18.18億畝(1畝≒667立方メートル)を確保する。工業用水を3割減らす。農業灌漑用水の有効利用係数を0.53まで高める。非化石エネルギー比率を11.4%まで高める。GDP単位あたりのエネルギー消費量を16%減らし、二酸化炭素排出量を17%減らす。主要汚染物質の排出総量を大幅に削減し、化学的酸素要求量と二酸化硫黄の排出量をそれぞれ8%削減し、アンモニア性窒素、窒素酸化物の排出量をそれぞれ10%削減する。森林被覆率を21.66%まで高め、森林保護区域を6億立方メートル増加させる。

目標⑤ 国民生活の持続的改善
総人口を13億9000万人以内に抑制する。平均寿命を1歳引き上げ、74.5歳とする。国民所得を年7%以上向上させる。農村部の新型農村社会養老保険(農村型年金)の加入率を100%とし、都市部の基本養老保険(都市型年金)の加入者数を3億5700万人まで引き上げる。3項目の基本医療保険の参加率を3%引き上げる。都市部の公団住宅を3600万戸建設し、貧困人口を著しく減少させる。

目標⑥ 社会建設のめざましい強化
国民の基本的な公共サービス体系を完備する。国民の民度、科学理解、健康理解をたゆまず向上させる。社会主義の民主的法制度をさらに健全なものとし、国民の権益をしっかり保障する。文化事業を大幅に発展させ、文化産業の国民経済に占める比重を大幅に引き上げる。社会の管理制度を完備させ、社会が調和を保ち安定するようにする。

目標⑦ 改革開放の不断の発展
財政、金融、価格、独占事業などの重要領域と、主要な環境・エネルギー節約の分野を大幅に進展させる。政府の職能を取り急ぎ変革し、政府の信頼性と行政の効率を向上させる。対外開放の間口と奥行きをたゆまず広げ、中国と外国のダブルウインの開放的な局面を形成する。

 以上である。数えてみると、数値目標は28項目と、前期に較べて5項目増えている。

 中国はこのように、5年ごとのきっちりとした短期目標を立て、13億の民を、5ヵ年計画の目標の方向へと誘導していく。そのレールに乗っていけば、2021年にはアジアに君臨し、2049年には世界に君臨する超大国になれるというわけだ。

 私は2012年9月に、「天津 夏のダボス会議」に参加したが、この時、顔を見せたカルロス・ゴーン・ルノー日産CEOは、次のように中国の5ヵ年計画を絶賛していた。

 「中国政府の最も偉大な点は、5ヵ年計画の遂行にある。5年後までの経済目標がしっかり定められていることは、中国に投資を考える多国籍企業にとって、安心して投資が行える指標となっている。

 例えば私が所属する自動車産業について言えば、中国は次世代の自動車産業の中心を電気自動車に据えると定め、2015年には年間500万台態勢の電気自動車生産を目指すとしている。このような明確な国家目標があれば、世界の大手自動車メーカーは、次世代の電気自動車の研究・生産拠点を中国に置こうという考えになるというものだ」

 かつて日本で日産自動車の経営に携わったゴーン社長は、いまや毎月のように中国出張を繰り返すほど、中国に肩入れしている。

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