Wharton Forum ~Marketing panel~ 変化を続ける消費者とテクノロジー---強いブランドを築くための広告のあり方は? マネジメントの課題は?
レポート:本荘修二(コンサルタント)
取材・執筆:本荘修二(コンサルタント、多摩大学客員教授)
進展するテクノロジー、変化する消費者、激動する市場環境に対して、企業は広告をはじめとするマーケティングにどう取り組めばよいのか---。
世界をリードする経営学大学院Wharton School(ウォートン・スクール)のグローバル・フォーラムが5月24日パレスホテルで開かれ、そのパネルの一つ「The Brave New World of Advertising」(広告の勇敢なる新世界)にてマーケティングへのアプローチが議論された。
【モデレーター】(左端)
ペンシルベニア大学ウォートン・スクール教授 ジェリー・ウインド (Jerry Wind, Lauder Professor, Director, SEI Center for Advanced Studies in Management; Academic Director, The Wharton Fellows Program, The Wharton School)
【パネリスト】(左から順に)
日産自動車 執行役員 マーケティング・コミュニケーション ブランドストラテジー ルー ドゥ・ブリース氏
資生堂 執行役員 企業文化・宣伝制作担当 杉山繁和氏
ワイデン+ケネディ トウキョウ 代表 ブレイク・ハロップ氏
丸の内ブランドフォーラム 代表 片平秀貴氏

力を持つ消費者、統合性と一貫性が求められる企業
まず、テクノロジーと消費者の変化が引き起こす課題が共有された。
ハロップ氏は、三つの問題を指摘した。まず、消費者の無関心。フェイスブックでブランドのことを書いている人はわずか0.5%しかいない。また、有名なナイキCEOフィル・ナイトの言葉「I hate advertising」(私は広告は嫌いだ)を引用した。そして、広告を飛ばすなどテクノロジーは消費者により力を与えていると、エンパワーメントをあげた。
片平氏は、「消費者同志がブランドについて自由にコミュニケーションしている」と言い、ウインド教授は、「ソーシャルメディア時代には消費者がブランドを定める」と語り、消費者が力を持ち、また消費者がどう受け取るかが重要だと指摘した。
そして、デジタル・ネットワーク化で多様化する顧客接点について、ドゥ・ブリース氏は、「顧客とつながる機会は常に変化し、企業の様々な関係者がブランドについてコミュニケートする」との現実を示し、「統合化とスピードが今日の最大のチャレンジだ。同時に全ての面からアタックしなければならない」と語った。
片平氏は「ブランドは裸にされている。誰に対しても一貫していなければ、失敗だ」と指摘した。このように、全社各部門が統合的にブランドに取組み、メッセージが一貫していなければならないことが強調された。
