2013.06.23
# 雑誌

医者に聞いても分からない「治るがん」と「治らないがん」「死ぬがん」と「死なないがん」ここが分かれ目です

週刊現代 プロフィール

 治らないだろうという予測が外れて治るのであれば喜ばしいが、治ると思っていたのに治らなかった場合は、裁判にも発展しかねない。患者が医者を訴える事例も増えているため、患者よりも自らの保身に走る医者も増えている。前出の森医師が言う。

「生存率が97%という状態の患者さんを手術する場合でも、最近ではわざわざ『手術をしても3%の確率で死にます』という医者が増えました。

 その患者さんが3%に入るかは誰にも分かりません。それなのに医者はその数字を言い、手術をするかしないかを患者さんに選んでもらうようになっています。医者が責任を回避するような状況が生まれている。そこに、医者と患者との信頼関係は全く存在していないのです」

医者はなぜウソをつくのか

 すい臓がんを患っている山本雅則さん(仮名・61歳)も、医者に騙されたという感情を抱いている。

「昨年の7月に、人間ドックですい臓がんが見つかりました。すでに肝臓に転移しており、ステージはⅣbだと医者から淡々と説明を受けた。そして、『精密検査の必要があります。検査は、ご自宅近くの病院でやったほうがいいでしょう』と言われたのです。

 自分の病状はどれほどなのか、家に帰って調べてみたら、すい臓がんのステージⅣbは、余命半年程度だと知ったんです。頭をハンマーで殴られたような衝撃でした」

 他の病院で検査をしたほうがいいと医者が言ったのにはわけがある。治癒が困難だと分かった患者は、病院にとっては"厄介者"になることもあるからだ。

「大病院は、治せる患者がほしいというのが本音なのです。診察を待っている患者が多く、早くケリをつけたい、完治の見込めない難しい病状の患者さんは来てほしくないのです。

 患者に向かって、『あなたはもう治りません。緩和医療の施設を紹介します』と告げる医者もいます。これは要するに、自分の手には負えないから施設を替えてほしいということを暗に言っているわけです」(日本医療コーディネーター協会代表理事で看護師の嵯峨崎泰子氏)

 もちろん、そんな医者ばかりではないし、治る見込みがどれだけ少なくても何とか患者を救おうと全力を尽くす医者も多い。ただ、そんな医者たちも、厳しい現状を患者にどう伝えるか頭を悩ませている。

「患者さんにとって、どう話すのが適切なのか、そこに正解はありません。一律にするのではなく、個別対応が必要です。自分の病気についてすべてを知っておきたいという人には、細かい病状、再発の可能性などをきちんと話したほうが良いですが、不安が強い人には、慎重にするべきです」

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