こう言う前出・勝俣医師も、日々、試行錯誤しながら患者と向き合っている。
「『治らないことは分かっているけど、まだ死にたくないから先生には治ると言ってほしいんです。絶対に治してね』そうおっしゃる患者さんがいます。そこで『大丈夫です』とは言えないから苦しい。
患者さんには、『最善を期待し、最悪に備えましょう』、そうお話しするようにしています」
2人に1人ががんになる時代、過度に医者に頼り切ってしまうのも、最初から医者を不信の目で見るのも誤りだろう。患者自らががんを克服するという強い意志を持つこと。それが「治る、治らない」「死ぬ、死なない」の分かれ目になるのかもしれない。
「週刊現代」2013年6月22日号より