2013.08.01
田原総一朗 × 有吉昌康(PTP代表取締役)【後編】「個人向けも完成しました。今年中に発売します!」

前編はこちらをご覧ください。
電器メーカーにことごとく断られ、自らプロトタイプを制作
田原 開発費はどうでしたんですか?
有吉 開発をしながら、日銭を稼ぐ仕事もしていました。野村総研時代の杵柄ではありませんが、レポートを書いて売ったりと。
田原 なるほど。それで、実際にものを作ろうとしたのはいつ。
有吉 2000年にことごとく断られたあと、2004年にもメーカーを廻っています。この頃にはもう、ハードディスクに録画するのは当たり前で、容量も100ギガ、200ギガ、300ギガと、3桁になっていましたから、あと2、3年が勝負だと思ったんです。
しかし、またしてもメーカーには断られました。それでも諦めきれず、プロトタイプを作ることにしました。それまでは紙の企画書を持って歩いていたので、SPIDERというコンセプトの魅力を伝え切れていないと思ったんです。
そこで、プロトタイプを作って、実際に使ってもらい、魅力をわかってくれるユーザーを50人、100人でも作りたいと思いました。
田原 プロトタイプを作るって、どうやって。
有吉 技術者を探すところから始めました。そこで巡り会ったのが、東北大学の博士課程にいた学生です。彼はロボットの研究をしていたのですが、テレビにも問題意識を持っていて、世の中にあるハードディスクレコーダーは使いにくいから自分で作った、という論文を書いていたんです。
それを読んで、僕は仙台まで出かけていって、彼を説得しました。それが、今のCTOの籠屋健です。
田原 プロトタイプが完成したのはいつ?
有吉 2006年です。ただ、これを無防備にポンと市場に出したら、きっと潰されると思いました。技術的な不確実性もまだまだあったので、方針を転換しました。