2013.09.29
# 雑誌

話題の本の著者に直撃! 福井晴敏
「M資金」を知らない若者よ、
世界経済はもう限界だ!

フライデー プロフィール

―アベノミクス効果で日本経済が浮上し始めたといわれても、大半の人が何らその実感を得られないのが現実です。

 経済活動をイス取りゲームにたとえるなら、いまは5つしかないイスのまわりを100人が回っているような状況です。アベノミクスの考え方は、イスは5つ以上には増やせないから、回っているときの音楽を絶やさず、さらにそのボリュームを上げようというものです。

 そうすると回るスピードが速くなり、それまで見ていた人たちも「オレも乗ってみようか」と、200人くらいが群がってきます。これを傍から見たら、経済は好況ということになる。だけど座れるイスは依然として5つしかない。だからリーマンショックのような事態が起き、これまでのことを一度清算しようということになれば、それに倍する衝撃が再来します。

 もうそろそろ、その考え方を変えられないものか。イスが5つしかないなら、その5つをバラして、100人が座れるように小さいイスを100個作り直すことをしなきゃいけないんじゃないか。そのための命がけの闘いを描いたのがこの話です。

「すごく恥ずかしいことをやる」映画

人類資金
著者:福井晴敏
終戦の日、日銀の地下金庫から膨大な量の金塊が姿を消した。戦後の混乱と日本の復興を糧に膨れあがったその資産の名は「M資金」。70年後、M資金詐欺を生業とする真舟雄一の前に謎の男が現れ、M資金を盗み出してほしいと依頼する。報酬50億円を提示する、男の狙いはなんなのか。時価総額10兆円のM資金を巡り、各地で激しい〝争奪戦〟が勃発する。世界経済崩壊の前夜を描くエコノミックサスペンス
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―小説の執筆と映画制作が同時進行で、しかも脚本も阪本監督との共同執筆という初の試みです。映画制作を通じて感じたことや、阪本監督とのやりとりのなかで印象に残っていることはありますか。

 映画の場合は疾走感を止めないようにしようというのが第一義であるのに対し、小説は枝葉のひとつひとつを丁寧に書き起こせる。そこがハッキリ違います。これは勉強になりました。

 阪本監督とはお互いに言葉を費やし、膨大な時間を一緒に過ごしましたが、強く印象に残っているのは、最初に渡したプロットを読んで「今回の映画では、すごく恥ずかしいことをやらなければいけないですね」と言ってくれたことです。

 阪本さんの映画は、主人公が途中で死んだり、望みを果たせず終わることが多いんですが、今回は主人公たちが与えられたミッションをやり遂げ、言いたいことや信じることを正面切ってぶつけることをしなければ、と。そういう意味で「恥ずかしいこと」と言ったんでしょうが、そのひと言で、「ああ、わかってくれているな」と思ったんです。

―福井さんは、M資金は存在していると思いますか?

 おそらく、それに類するものはあったと思いますが、いま残っているかというと、さすがにあやしいでしょうね。

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