汚染水問題---政府も万全とは考えていない凍土壁の建設が予備費のための大義名分なら憲法違反の疑念が浮かぶ
東京電力福島第一原発の汚染水問題が深刻さを増している。そんな中、超党派の国会議員らでつくる「原発ゼロの会」による国会エネルギー調査会(準備会)の会合が10月24日、衆院第一議員会館で開かれ、東電や政府当局から現状報告があった。
会合の模様や配布資料などはネットで公開されるはずなので、詳しくはそちらを参照していただくとして、ここでは私が感じた問題点をとりいそぎ書いておきたい。
まず、政府が構築を検討している凍土壁は本当に汚染水を止める効果があるのか、という点だ。これについては、政府や与党内からも効果に疑問を投げる声が出ている。
国会エネ調の会合では「なぜ凍土壁なのか」の声が相次いだ
自民党の資源・エネルギー戦略調査会の福島原発事故究明小委員会(村上誠一郎小委員長)は凍土壁ではなく、コンクリート壁による遮水策を提言した。
国会エネ調の会合でも「なぜ凍土壁を採用したのか」「粘土壁とか安くて効果も期待できる在来工法もあるのに、なぜそちらを採用しなかったのか」など資源エネルギー庁の担当者を問い詰める声が相次いだ。
前のコラムで書いたように、遮水壁の必要性は事故直後から指摘され、民主党政権も検討していた。
しかし、1,000億円にも上りそうな巨額の費用に東電が難色を示し、お流れになった経緯がある。
その後、自民党政権に変わって、政府の汚染水処理対策委員会はゼネコン3社から提案があった凍土壁(鹿島建設)と粘土壁(大成建設)、グラベル(砂利)連続壁(安藤ハザマ)の3案を検討した。その中で凍土壁を選んだのだ。
なぜ凍土壁を選んだかについて、エネ庁担当者は会合で「現場は雨天には1日で50トンから100トンもの雨が降る」「放射線量が高いところで遮蔽しながら作業するには凍土壁しかない」「3つの案の中では、凍土壁がもっとも早く出来る」などと答えた。
だが、雨が降るとか放射線量が高いという条件は、他の2案でも同じではないか。素人には、どうもよく分からない答えだ。
私が疑っている真の理由は、別のところにある。
それは、壁を予備費で作ると決めたからなのではないか。