本田直之×安藤美冬【第2回】
選択肢として知らなければ「あたらしい働き方」は選べない

【第1回】はこちらをご覧ください。
"自立した大人"であることが大前提
安藤: さらに著書について掘り下げて伺っていきます。『あたらしい働き方』で取り上げる会社を選ぶ基準を教えて下さい。また、そうした会社への取材を重ねる中で、印象的だったできごとはありましたか?
本田: 基準はやっぱりまず、継続性がある会社。ポッと出てきて「面白いことやっています」というのは、アイデアは面白いけど、続かないみたいなのがあるじゃん。口だけみたいな。
そうじゃなくて、継続してちゃんとできているところ。かつ、ビジネスとしても成り立っていることが、第一条件。あとは、ビジネス規模もある程度のラインを引いて、会社を選んでいる。俺が見て面白いかなと思ったところと、日本の企業は紹介してもらったりもしたんだけど、基本的にはそういう条件で。
面白かったのは、アメリカの会社で、「社員を、もう初日から大人として扱います」という言葉が何回も出てきたこと。大人として扱うって、当たり前に聞こえるんだけど、意外とみんなできてない。
確かに大人として扱うのであれば、「じゃあ何時から何時まで働いてくださいね」とか「君の席はここです」、「有給休暇は何日です」とかって決める必要がないんだよね。なぜならば、同じ目標に向かっていく大人同士の仲間であれば、そんなルールがなくても結果を出すし、コミットもできる。それで自分の時間もちゃんと持つこともできる。

安藤: 「性善説」というとちょっとずれているかもしれませんが、「大人として扱う」ということは、社で働く人間を"自立した大人"として信頼することが大前提とするということでしょうか。
本田: だからこそ、入社時のスクリーニングをめちゃくちゃ厳しくする。
安藤: なるほど。
本田: やっぱり変な人が入ってきたら、初日から大人として扱えないからね。
安藤: そういうことですよね。
本田: 「こうしてね」「ああしてね」って、言わなきゃいけなくなっちゃうから。そうすると、会社としても、やっぱり、ルールで縛らなきゃいけなくなっちゃうわけで。