3・11東日本大震災の直前と同じ異変が 東大名誉教授・村井俊治が警告する 「南海トラフ巨大地震来年3月までに来る」

ただの当て推量でも、超能力でもない。データが、あの東日本大震災の発生前と同じ異変を示している—。短期直前の地震予測をあきらめた地震学界に代わり異分野の権威が次の巨大地震を警告する。
日本列島が動き出した
「データを見て、本当にびっくりしましたよ。これは東日本大震災のときと同じじゃないかと」
東京大学名誉教授の村井俊治氏は、いまでもその驚きが覚めやらないかのように、そう語りだした。
「初めは今年6月末、九州・四国・紀伊半島で異常変動がありました。
それが9月1~6日に、日本全国が異常な変動を起こし、私たちのシステムでは日本地図が真っ赤になったんです。
その次の週は逆に変動がなく、大変静かになったのですが、東日本大震災の前には、こうした変動と静謐期間が半年ほどの間に3回、繰り返されました。
そうした経験から、私たちは今年12月から来年3月頃の期間に南海トラフでの大地震が起こる可能性が高いと考えたのです」
この冬、南海トラフでの大地震が起こる—。
衝撃的な予測だが、実はここまでの話ならば、村井氏らは過去にも取材で訴えてきたという。ところがいま、事態はさらに悪化しているというのだ。
「9月の異常の後、4週間ほどは静かな状態がつづいたのですが、5週目の10月6~12日、再び広範囲で変動が起こったのです。
とくに大きな変動がみられたのは、九州・四国。詳しく見ますと、それまで高知県、愛媛県、紀伊半島に出ていた異常が香川県、徳島県など瀬戸内海側に移ってきている。九州、徳之島、沖縄も動いています。
これらの場所は、南海トラフでの地震、とくに九州・四国沖を震源とする南海地震が起こるとされている地域と、ぴったり符合するのです」
こう警告する村井氏、実は測量学の分野では世界的な権威だ。先月もアジアリモートセンシング会議という国際学会で基調講演を行ったばかり。測量学の世界で「ムライ」の名を知らない人はまずいないだろうとさえ言われる。
そんな村井氏が、東日本大震災以来、精力を傾けているのが「地震予測」の研究なのだ。
「私たちが使っているのは、国土地理院が全国1200ヵ所以上に設置している電子基準点のデータです。
これは、みなさんがご存じのGPSをさらに精密にしたようなもので、簡単に言えば人工衛星を使って、地上に置かれた基準点の動きを誤差2~3mmの範囲で測定する、精密な測地システムです。東西南北への水平方向の変動だけでなく、上下方向の隆起・沈降も観測しているのです。私たちはとくに隆起や沈降の上下移動の差、つまり変動の大きさに注目しています」
と村井氏は説明する。