2013.12.18

矢野隆司 第3回 「18年前、人生の尊い授業料として"使わされた"100万円事件の真相」

島地 勝彦 プロフィール

矢野 いま思えば、そもそもは入社祝いとして生まれてはじめてコルトン・シャルルマーニュを飲まされたのが、このおめでたい物語の劈頭だったのでしょう。

セオ でも矢野さんの偉いところは、そんなこんながあってもシマジさんと絶交もせずに今でもこうして仲良く付き合っているところですよね。

矢野 シマジさんにまんまとロマネコンティを飲まれた今東光大僧正のお気持ちが察せられます。お気の毒なことでした。

セオ そのときシマジさんはどこかの編集長だったんですか?

矢野 集英社の雑誌担当役員になっておられました。でも迫力はいま以上でしたよ。そうだ、もうひとつシマジさんの武勇伝をご披露いたしますか。

立木 まだあるのか、高級ワインただ飲み事件が。

矢野 これはシマジさんには珍しく美談です。

セオ へえ、シマジさんの美談ですか。ぜひ聞きたいですね。

矢野 わたしが結婚する少し前の話です。

今先生が豊岡中学にいたころ、女学生に熱烈なラブレターをお書きになったんですが、そのラブレターが突然世に出てきまして、それが読売新聞にスクープ記事のごとくデカデカと載ったんです。すると今先生の奥さまが気を揉まれて、シマジさんに「どうしてもあのラブレターを回収したい」といったそうなのです。

持ち主は大阪の骨董屋さんでした。そこでシマジさんはわたしを従えてその骨董屋さんに乗り込んで行ったんです。シマジさんはまさに口八丁手八丁で骨董屋のご主人にこういいました。

「今先生のラブレターがここで毎晩夜泣きしている。今先生の未亡人は大きなこころの持ち主です。ヤキモチを焼くどころか、いくらでも払うから買い取ってきてくれとわたしに頼まれた。それで参りました」

するとご主人が「お金は結構です。わたしは趣味で古いオモチャを集めています。何か今先生の子供のときのオモチャがありませんか。それと交換しましょう」というではないですか。