2014.02.10
# 雑誌

即死!新型「鳥インフルエンザ」が日本上陸 中国では死者100人以上も

週刊現代 プロフィール

1月24日の朝、韓国・全羅北道の農場では、防疫作業服を着た約100人の公務員が、鶏の殺処分作業にあたっていた。ビニール袋に鶏を100羽ほど入れたあと、ガスを注入して窒息死させる。この日、1万8000羽が処分された。

「作業後はいつも、気分が悪くなって憂鬱になります。殺した鶏が『殺さないでくれ』と鳴く幻聴が聞こえてくるんです」(作業員)

防護服を着ているとはいえ、いつわが身にウイルスが忍び込んでくるかわからない。人間を即死させる能力のあるウイルスに怯えながら、作業にあたっているという。

一方、農家の被害も深刻だ。韓国の中部、忠清北道で養鶏場を営む男性は、こう嘆く。

「ここは戦場。早くこの時間が過ぎることを祈るばかりです。感染が発覚した農家から半径3km以内にある養鶏場では、健康な鶏もすべて殺処分することになりました。しかも、半年間は新たな鶏を飼うことも許されないんです。

地元の人は外出も慎んでいて、客足も急に途絶えました。今後の生活はどうすればいいのでしょう」

韓国では、1月28日までに、155万羽超の鳥が殺され、今後も53万羽の処分が予定される。現在までの被害額は、推定250億?(約23億円)で、今後さらに被害は拡大する見通しだ。

隣国では、国を挙げての厳戒態勢が敷かれているのに比べ、日本政府の対応はあまりにお粗末である。

'09年に流行した豚インフルエンザ発生時は、発生国から到着する航空機内では体温・健康状態の確認が行われ、すべての出入国者に対して空港でサーモグラフィによる体温チェックを徹底していた。ところが現在は、空港での対策も取られておらず、感染が疑われた場合には保健所に連絡し、検査を行うのみ。渡航者に注意を呼びかけている程度だ。

このままでは、中国から鳥インフルエンザが上陸するのは時間の問題だ。昨年12月の1ヵ月間だけで、中国から日本に訪れる観光客は9万6000人を超えている。感染した人がそれと知らずに中国から日本にやってくる可能性は限りなく高い。人間だけでなく、渡り鳥が日本へウイルスを持ち込むケースも考えられるだろう。鳥インフルエンザは、すでに日本に上陸しているかもしれないのだ。

あなたの横に感染者が

新型インフルエンザがヒトからヒトへと感染しはじめたら、いったいどうなってしまうのか。

国立感染症研究所が過去に行ったシミュレーションと、東京都が策定した新型インフルエンザ対応マニュアルを元に想定してみると、こんな「最悪の状態」が見えてきた(以下の数値は、すべて同研究所及び東京都の資料に基づく)。

関連記事