2014.05.06
ポール・クルーグマン「太陽電池パネルなどの再生可能エネルギーが激安になった」
『現代ビジネスブレイブ グローバルマガジン』---「ニューヨークタイムズ・セレクション」より
温室効果ガス排出を制限しても経済の低下率は0.06%
世界中の科学者の取り組みを結集した「気候変動を検討する政府間パネル」(※)が、最新評価に基づく報告書の草稿の章ごとの発表をはじめた。予想通り、内容の多くは厳しいものだ。大きな政策変更がないまま、われわれはいまだ破滅への道を歩み続けているようだ。
しかし、条件つきとは言え、この査定のなかには非常に楽観的な見通しがひとつある。それは経済面での軽減に関する見解だ。この報告書よると、温室効果ガスの排出制限には思い切った対応措置を求めるものの、そうした措置をとるうえでの経済的なインパクトは意外なほど小さいとしている。実際、この査定で検討されているもっとも野心的な目標を導入したとしても、経済成長の低下率は約0.06%と、四捨五入による誤差の範囲に留まると推定される。
この経済的楽観主義の背後にあるものは何か?その大部分は、多くの人は知らない技術上の革命を反映したものだ。つまり近年、再生可能エネルギー、特に太陽熱発電のコストが信じられないくらい大幅に下がったことにある。
(※)気候変動を検討する政府間パネル=Intergovernmental Panel on Climate Change(略称・IPCC):数年おきに発行される評価報告書は、地球温暖化に関する数千人の世界中の専門家の科学的知見を集約し、国際政治および各国の政策に強い影響を与えている。