2014.05.14
# サッカー

二宮寿朗「サッカー日本代表を支える“勝負メシ”」

二宮 寿朗 プロフィール

食卓から生まれたドラマ

 代表の伝統カレーは野菜たっぷりで家庭の味。試合後に楽しみにしている選手も多いと聞く。試合で勝てば明るいムードになるのだが、結果が出ないとせっかくのカレーもおいしく味わえなくなってしまう。

 カメルーン戦に勝利した後、チームはチャーター機で合宿地のジョージに戻って夜11時から遅い夕食が始まったという。留守番の別のシェフが用意したカレーを全員で食べながら、南アフリカの現地スタッフによる祝いの歌がプレゼントされたという。

 また、決勝トーナメント1回戦のパラグアイ戦でPK戦の末に敗れた後、チーム最後の夕食もカレーだった。PKを外した駒野友一はショックを引きずったままで、大好きなカレーを目の前にしてもスプーンを口まで運べなかったという。西シェフは遠くから打ちひしがれる駒野を見つめていた。

 最後の食卓風景について、西シェフはこのように語っていた。
「試合後にホテルに戻って岡田監督のあいさつがあって、中澤佑二選手が『最後の食事が終わるまで、W杯は終わらないよ』と言っていたことがとても印象的でした。メニューは恒例のカレーに、魚料理2品、ステーキに豚のしょうが焼き。駒野選手には声をかけづらい雰囲気ではありましたけど、みんなが痛みを分かちあっていたような、そんな感じでした」

 きっと今回のブラジルW杯でも、食事の場からいろんな悲喜こもごものドラマが出てくるに違いない。

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