2014.07.10

WARRIORS、崖っぷちからの逆転劇 ~第2回全日本車いすソフトボール選手権大会~

スポーツコミュニケーションズ

すべては期待の表れ

飛島とともにゼロから日本の車いすソフトボールをつくり上げてきた大西監督

 飛島は決勝の勝因をこう語る。
「初戦は打線が線になっていなかったんです。個々が一発をねらって、つなぎの気持ちが薄くなっていた。でも、決勝では打線がしっかりと線になっていました。それが大きかったと思います」
 また、大西監督は決勝前、「今度は作戦で勝ちます」と語っていた。果たしてその作戦とは――。
「得点を取るべき時に、確実に取るということです」
 4回裏、初回にホームランを放っていた飛島に対し、スクイズを命じたことが、それを物語っていた。もちろん、それは飛島も十分に理解していた。
「ここでスクイズかな、と思っていたところに、大西先生からサインが出た。さすがだな、と思いました」

 飛島にとって、大西監督は北海高校野球部時代からの恩師だ。考えは、言葉にしなくてもわかっている。

 日本の車いすソフトボールの歴史は、大西監督と飛島のキャッチボールから始まった。それゆえに、大西監督の飛島への期待は大きい。それは、こんなエピソードにも表れている。これまで大西監督は他の選手とはしても、飛島とだけは決して握手をすることはなかった。それが昨年、優勝した際に初めて大西監督から握手を求めてきたという。言葉はなかったが、飛島には十分だった。苦節5年、追い続けてきた夢を現実のものとした喜びを、2人は分かち合ったのだ。しかし、今年は優勝後の握手はなかったという。大西監督の飛島への期待が、より高いところに設定されているのだろう。

「車いすソフトボール界を引っ張っていってほしい」。そんな思いを込めて、大西監督が自らの名前「ニシ」にちなんで指定した背番号「24」を背負う飛島。日本に車いすソフトボールを誕生させたのは、彼の存在である。それは10年後も20年後も変わらない事実であり、語り継がれていくに違いない。だからこそ、否が応でも今後、さらなる普及・発展のために、飛島は不可欠な人物だ。それを大西監督は飛島に伝えようとしているのではないか。容易には握手しないのも、名前にちなんで指定した背番号にも、恩師からの熱いメッセージがこめられている――。

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