価値観のずれを認識するためには
「教育の未来」を探るセッション。仁禮氏が考える未来は興味深いものだった。

「みんなが同じ社会で生きているなかで、価値観のずれを認識するために、どうするのかということが大事。昨年から、世界17ヵ国の子どもたちと『グローバル人生ゲーム・プロジェクト』を立ち上げている。子どものうちに、価値観の違いを当たり前に身に付けることを目指す」(仁禮氏)
大人の女性として家庭や社会において、立ち位置・バランスをうまくとるのは難しいかもしない。パネリストの女性陣の「バランスのとり方」とはどのようなものだろうか。
「娘には結婚しないほうがいいと言っている。若い人が結婚しないのは、お母さんが幸せそうではないから(笑)」(林氏)
「男の人は、家庭に入っても女性に甘えてしまう。部下の教育で思うところがある。正しい日本語を話して、情報を伝える以前に、ものを知らず、本も読まない人もいる。家庭でもう少しちゃんとした社会人になるよう育ててほしい。一方で、グローバル化が進む中で不安でならない」(秋沢氏)
「社会全体が女性化して、男性は不利な時代になる」

古市氏は別の視点から切り込んだ。
「いまは男性不遇の時代。つまり、社会の女性化が起きている。産業的にも、女性が得意な育児や介護、サービス業が増えている一方で、男性が幅を利かせている業界は衰退している。女性が多い業界はこれから伸びる業界。社会全体が女性化して、男性は不利な時代になっていく」(古市氏)
男性・女性問わず、大人でも自信がないことや疲れること、時代の変化に対応できないこともある。また、自己肯定できない人も多くいるなかで、自信や自己肯定をどのように捉えればよいのだろうか。
「能力がないのに自信があることと、能力があるのに自信がないことだと、後者の方がいい。自己肯定がないことがはたして問題なのか。それは後からでも生まれてくるのでは」(古市氏)

林:教育はエゴイズムと手を結んでしまう。自分の学校がいいところに出ればいいと考えがち。そこで、NPOなど広い視野を持つことが大事になる。自分たちの子どもがヒツジで、まわりがオオカミだったら意味がない。
秋沢:色んな世界で生きている女性がいる。やりたいことがなにかを見つけ、伸ばしてほしい。時間がないと口にするが、時間はつくるもの。優先順位をつけて、新しい知識を吸収し、もっといい世の中にしてほしい。
古市:教育は、一番思い通りにならないものの一つ。社会とか大きな流れで考えていかないといけない。教育を学校など狭い視点で見るのではなく、もっと広い概念でとらえていくことが大事になる。
仁禮:「教育」という漢字は「教えて、育てる」「教えられて、育てる」。そうではなく、「みんなが教えて、育てる」という捉え方で、自分が教育者になることが重要。
安倍:ミャンマーの支援をしていると、格差がないことに気づく。バラエティに富んだ社会では、格差がでてくる。そういうとき、本当に教育とはなんなのだろうと考える。昔からもっている勘を取り戻すというか、自然の中にある教育が大事だと思う。