不都合な真実① 日本には「原子力ムラ」とよく似た「医療ムラ」が存在している

「医療」と「原子力」はそっくり
医療の「不都合な真実」といって、患者さんであるみなさんがまず思い浮かべるのは、やはり、医者にまつわる不祥事ではないでしょうか。
まず最近、続発しているのが、製薬会社との「不適切な関係」です。
医師がおこなったという臨床試験が、実はカネの面でも人の面でも製薬会社が丸抱えしていて、その論文が薬のプロモーションにつかわれていた。あるいは、研究で用いられた患者の個人情報が、製薬会社へそのまま流されていた。そんな不祥事が近ごろマスコミを大いに賑わせています。
その一方で、モラルの低下にも歯止めがききません。
つい最近も理化学研究所のSTAP細胞にまつわる論文の画像改竄(かいざん)問題が世間の耳目を集めましたが、実は医師による論文不正や捏造も多く報告されています。また、科学研究費補助金(科研費)などの使い込み、横領、研究費の私的流用などの不祥事も続発しています。
過去に医師の不祥事がまったくなかったわけではありませんが、近年になってまるで堰をきったように増えている背景にはいったい何があるのでしょう。
私には、これは「医療」というシステムそのものが制度疲労を起こしてきているせいで、様々な問題が噴出しているような気がしてなりません。ダムに小さな穴がポツポツと開いて水漏れをすれば、やがて大決壊を招くように、これらの一連の不祥事も崩壊の前兆ではないか。そんなふうに感じてしまうのです。
この構造とよく似ているのが、「原発」ではないでしょうか。
東日本大震災による福島第一原発事故は、日本の原子力行政がこれまで覆い隠してきた様々な問題を浮き彫りにしました。が、これらの問題はかねてから一部の人たちからは指摘されていたものです。
原子力発電所というものは本当に安全なのか?
そもそも、なぜ近隣住民や国民を置き去りにして、ここまで強引に原子力を推進しなくてはいけないのか?
これらの疑念を必死に隠してきた「原子力」という政官業のシステムは、いろいろな意味で限界に達していました。それが「地震」というきっかけで一気に崩れ去った、と考えるべきなのです。
著者=上 昌広
講談社/907円(税込み)
◎内容紹介◎
STAP細胞騒動、終わりなき患者のたらい回し、何を信じてよいのかわからない高度医療の実態・・・、医療崩壊列島ニッポンで超高齢社会を生き抜くための知 恵を、「医療ガバナンスの旗手」が授ける。本当に役立つ医療とは? 医療をダメにする本当の「癌」とは? 患者=一般市民だけが知らない「医療の不都合な真実」を糺す!
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