2014.09.20

ビートルズの名曲とともに紡がれる、心が震える衝撃の純愛・サスペンス小説。井上夢人・著『ラバー・ソウル』が文庫版で登場!

井上さんが小学校6年生、少年合唱団に入っていたときの写真。前列右端が井上少年
実家の教会、前列右端で讃美歌を歌っているところ。本当にボーイソプラノ少年だったのだ!

――後悔?

井上 だって、客の9割は女の子で、しかもみんな席に座ってないで立っちゃうの。映画を観に行ったのにスクリーンが見えない。「ジョン!」「ポール!」「ジョージ!」「リンゴ!」って金切り声で、音さえ聞こえない。来たことをものすごく後悔した。ところが何かの拍子に女の子たちの嬌声が止んで、一曲だけ聞こえたんです。それが「If I Fell(恋に落ちたら)」って曲でした。

それまでの騒音がそう感じさせたのか、それは衝撃的に美しい旋律とハーモニーだった。それで帰りにそのままハンターってレコード屋へ寄って、なけなしのお金で「If I fell」を買ったんです。ひと月のお小遣いはたったの100円。330円のレコードはきつかったですよ。直径17センチのドーナツ盤って呼ばれてたシングルレコードです。赤いヤツです。

で、そこからずぼっとはまってビートルズから抜け出せないままにこういう小説を書いております(笑)。

――悪の権化にはまって、学校やご両親は大丈夫だったんですか?

井上 ポータブル電蓄(電気蓄音機)とビートルズの新曲を学校に持って行って、昼休みにかけたりしていましたね。誰かがチクッて先生に呼ばれ、親も職員室に呼ばれましたよ。
「井上君には非行の兆候が見られます」って。

親父はビートルズを嫌がったけれど、おふくろはけっこう聞いていましたね。「シーズ・ア・ウーマン/She's A Woman」を聴かせたら、「おや、本物の歌うたってる!」って言ったのが忘れられない。

井上夢人・著『ラバー・ソウル』
(講談社文庫/税抜価格980円)
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――それからズボッとはまって・・・・・・とおっしゃっていましたが、お金、かかりますよね。

井上 「ビートルズ」という文字を本屋でちらっとでもみかけると飛びついて読みました。で、懐が許す限りそれを買っちゃうわけです。
学生ですから大変ですよ。当時LPレコードが1500円、モノラルのね。ステレオ盤は1800円なのです・・・・・・。

そもそもビートルズは他のミュージシャンと違ってシングル曲を集めてアルバム作るようなことをしなかった。シングルはシングルで買わないと、アルバムには入ってないんだから。さらにアメリカ盤を出していたキャピトルはひどい会社でね。ビートルズのオリジナルではA面7曲、B面7曲の14曲が決まりだったんです。なのにキャピトルはオモテ6曲、裏5曲とかにして、落とした曲を集めて勝手にもう一枚アルバムをつくっちゃう。

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