2014.09.20

ビートルズの名曲とともに紡がれる、心が震える衝撃の純愛・サスペンス小説。井上夢人・著『ラバー・ソウル』が文庫版で登場!

――超怖いじゃないですか!

井上 もちろん彼らの歌詞はいろんな取り方があるので、それだけで対訳の本ができたり、誤訳に対する指摘の本ができたりするくらいですけどね。
でも「ラバー・ソウル」は最初のコンセプトアルバムで、曲の順番も彼らが厳格に決めている。その歌詞を順番に読んでいくと、もうストーカーの話にしか読めない。これは小説にするしかないでしょう。

愛用のipadを使ってわかりやすく説明してくれる井上さん。自宅にはビートルズの資料も音源も大量で、『ラバー・ソウル』の鈴木誠ばり? 話ももちろん止まらない! 写真/柏原力(講談社写真部)

――なるほど! それで鈴木誠の物語が生まれたわけですね。この小説には「ラバー・ソウル」のアルバムのほかにボーナストラックとして「デイ・トリッパー/DAY TRIPPER」と「WE CAN WORK IT OUT(恋を抱きしめよう)」が入っています。それにはどんな意味があったのでしょうか。

井上 この2曲は「ラバー・ソウル」と同時にシングル盤としてリリースされたものなんです。レコーディングも「ラバー・ソウル」セッションの中で行なわれている。だからマニアにとってはそれらも「ラバー・ソウル」なんですよ。内容的にも、この2曲を合わせることが小説には不可欠なのだと気づいてオリジナルにはないボーナストラックを設けたんです。

――一緒に収録してアルバムにいれないということがたくさんあったんですね!

井上 例えば「ペイパーバック・ライター/PAPERBACK WRITER」と「レイン/RAIN」のシングルは「ラバー・ソウル」の次のアルバム「リボルバー/REVOLVER」のセッションでレコーディングされ、さらに「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー/STRAWBERRY FIELDS FOREVER」と「ペニー・レイン/PENNY LANE」は「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド/Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」セッションで録音されたものなんですよ。そういったシングル曲は彼らのオリジナルアルバムには収録されませんでした。

――名曲ばかりですね! 「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」はジョンの最高傑作ともいわれてますよね。

井上 そういう人も多いでしょうね。ジョン・レノンは天才ですよ。でも、ポール・マッカートニーがいたからこそ「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」を完成させられたんだと思います。レノン=マッカートニーは最高のコンビです。

一般の人にはポールの曲の方が認知度が高いかもしれないけれど、ジョンは「俺は俺」タイプで、人の言葉には動かされない。ポールには総合的なまとめる力があって、リーダーシップがある。ビートルズの核となる部分のリーダーはジョンですけど、音楽的にはポールの才能が不可欠だった。

とにかくビートルズは音楽の常識を覆していったわけですが、すごいものを生み出すのがジョンで、それを完成品にするのがポールだったんじゃないかな。
ぼくもレノン=マッカートニーのような二人組に憧れて岡嶋二人になったんですよね・・・・・・ってウソウソ。

ビートルズがいたから作家のぼくがいる

少年合唱団に入っていた少年が、思いっきりロックミュージシャンになった写真。高校生でバンドを結成、ビートルズのコピーをしまくっていたとか

――ビートルズの存在が井上さんをつくったわけですね。

井上 それはもう、13歳から50年ファンをやっているわけで。中学1年生のときからビートルズにうまってすごしたといって過言ではないですよ。

――バンド活動もされたり?

井上 高校1年のときは学生バンド組みましたね。「和声対位的ビートルズ解釈法」ってタイトル付けて学園祭の舞台に立ったりしてね(笑)。ビートルズのコピーをしまくってました。それに、ビートルズがいなかったら、ぼくは今、こういう仕事をしていないと思いますよ。発信側にいるのが楽しいということを教えてくれたのが彼らだったんだから。

――そうですよね! 生み出すのは大変でも、楽しいんですよね。このまま小説現代連載中の「逆立ちするクロノス」の原稿もこの勢いで書いちゃうというのは・・・・・・。

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