2014.10.25

二宮清純レポート 23歳 ソフトバンク内野手 今宮健太 若き「名手」は、日本一を狙う

週刊現代 プロフィール

今宮君の場合、まだまだ伸びるし、いずれは日本を代表する選手に必ずなる。ヨソのチームの選手ではありますが、楽しみにしていますよ」

いみじくも森脇が口にした「本物のショート」とは奥行きのある表現である。今宮はどう解釈するのか。

「僕はショートは特別なポジションだと思っています。センターラインを統率し、チームを牽引する。いってみればフィールド上のキャプテンです。いいショートがいなければチームは強くならない。それだけ責任の重いポジションだと自覚しています」

仰ぎ見る頂は、はるかに高い。本人は自らのショートとしての完成度を「5合目あたり」とみる。

—理想のショートに必要な条件は?

やや間を置いて、今宮は答えた。

「愛情でしょうね。プレーに愛情がこもっているかどうか。反省を込めて言えば、プロに入ったばかりの頃はファーストが捕れないようなボールを平気で投げていた。〝(一塁に)届けばいいだろう〟って。ボールに愛情がこもっていなければ相手だって捕りにくい。それがわからなかったんです。

今は違います。相手に思いやりを伝えたい。キャッチボールの時から、それを意識してやっています」

まさか23歳に愛の尊さを教わるとは思わなかった。プレーとは愛の結晶なのか。おくりびとは一歩一歩、野球の真実の淵に近づいている。

「週刊現代」2014年10月25日号より

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