個人の声や問題提起を連鎖させるということ---慶応・上智の休学費用減額を求めるキャンペーン発信者に聞く

「変えたい」を形にするソーシャルプラットフォーム「Change.org(チェンジ・ドット・オーグ、以下チェンジ)」とのコラボレーション連載。ここでは、社会をポジティブに変えていくために、手段としてのチェンジを理解し、戦略的に活用した事例を取り上げている。ろくでなし子氏保釈を求めるキャンペーン、東京五輪の会場計画に反対を唱えるキャンペーンに続いて、今回は大学の休学費用減額を求めるキャンペーンについて。
高い休学費が海外挑戦の機会損失となっていた
上智大学外国語学部英語学科4年・堀慎太郎氏と慶応義塾大学環境情報学部2年・佐藤遥香氏、チェンジの広報を務める武村若葉氏に話を聞いた。堀氏は2013年春に上智大学に対して署名を提出し、佐藤氏は2013年末から慶応大学に対して休学費減額を求めるキャンペーンをおこなっている。
まずは堀氏の活動から紹介する。同氏は海外インターンシップを運営する国際的な学生団体アイセック・ジャパンに所属。大学4年次を休学し、現在はタイの人材紹介会社でインターンをしている。団体の活動上、休学者が多いことや、英語学科に在籍しているため、海外留学する学生も多く、休学が身近にあった。休学費用に関する相談を受けることが多かったという。
上智大学では学費制度の改訂前、休学するのに年間授業料の3分の1の20~30万円ほどを負担する仕組みだった。他大学ではどうか。2011~2012年にかけて明治大学(半期8万円)や早稲田大学(半期5万円)が休学費用の改訂を実施。堀氏は上智大学の動きにも期待したが、当時はなにもなかった。
「上智大学は国際色の強いブランドがありますが、高い休学費が海外に挑戦したい人にとって機会損失になっていると思いました。普段から休学について相談を聞く立場だったので、大学に対して意見を伝えたい、そして、休学を考えている身近な友人を助けたいという2つの気持ちがありました」(堀氏)
まずは費用体系を調べ、オフラインで署名活動を開始。署名提出まで5名ほどのコアメンバーでおこなったという。ネット署名を使うきっかけは、Twitterで広報していたところ、チェンジのスタッフから声がけがあったため。「広報手段がひとつ増えた」と捉えた。
活動は約半年での短期決着を目指した。チェンジと出会ったのが活動の終盤だったため、ネットでの署名数は160程度にとどまった。だが、効果はあった。チェンジを通じて大学内部とも関係をもつOBに声が届いたのだ。「ネット上でも影響力の強い上智大学OBの方々に拡散してもらい、認知を広げることができました。学内の活動が学外へと広がることで、その後のオフラインの活動もやりやすくなりました」(堀氏)。
