「ブラック企業」対策に政府が本腰
これで若年労働者は守られるのか?
「ブラック企業」対策が本格化
「ブラック企業」対策に、厚生労働省が本腰を入れ始めた。今月からインターネット上で求人情報の監視を始めたのに続き、26日召集予定の通常国会に関連法案を提出してブラック企業の求人広告をハローワークで取り扱わない仕組みを設けるという。その一方で、離職率の低い会社を若者が働きやすい会社と認定し、支援する制度も創設する方針だ。
労働人口が減少する中で、若年労働者が食い物にされて、将来を嘱望される貴重な戦力の成長の芽が摘まれるのを防ぐ狙いがあるという。
ここ1、2年、「ブラック企業」がネット上を中心に騒がれて社会問題化しているだけに、政府が無策と批判されることを恐れて、アリバイ作りに乗り出したとも受け取れる話だ。
しかし、次から次へと「ブラック企業」が登場する背景には、経済と経営の構造問題が横たわっている。今回のような対症療法的な政策だけで事態が改善するとは考えにくい。
厚生労働省の対策法案作りを検討してきたのは、厚生労働大臣の諮問機関である「労働政策審議会」の「職業安定分科会雇用対策基本問題部会」。
同部会は先週(1月9日)、この問題を巡る6度目の会合を開催し、ブラック企業対策を柱にした「若者の雇用対策の充実について」(職業安定分科会雇用対策基本問題部会報告書案)をまとめた。
それによると、少子高齢化が響いて、若年労働者(15~34歳)は、2030年に1439万人(2013年は1757万人)と今後も減少が続く見通しだ。その一方で、若年者が最初に就いた仕事が非正規であった割合が4割に達しているほか、新卒者の卒後3年の離職率が大学卒で3割、高卒者では4割になるなど、現状には放置できない問題が多いという。
そこで、次代を担う存在として若者が活躍できる環境の整備を図るため、若年雇用対策に体系的に取り組むべきだと、政策対応の必要性を強調している。