スカイマーク破たんの元凶は太田昭宏国交相と国交省なのではないか

昨年暮れの本コラム(2014年12月23日付『スカイマーク航空の経営危機はJAL救済が原因だ。国交省の不毛な介入は新たな破綻を必ず招く』)で、深刻な危機を伝えた国内航空業界3位のスカイマークが先々週(1月28日)、民事再生法の適用を申請して事実上破たんした。その後、スカイマークは東京地裁の了解を得て、日々の運航を継続しながら再生計画案作りを始めている。
次の焦点は、この再生計画を実現性のあるものにまとめて、会社の再生に繋げられるかどうかだ。駄目ならば、より強い権限をもって裁判所が介入できる会社更生法への切り替えや、会社を処分して清算する事態、つまり二次破たんに陥るリスクも残っている。
そこで、通常の破たん劇と違い、今回のケースで注目せざるを得ないのが、国土交通省の対応なのだ。と言っても、太田昭宏国土交通大臣が国会答弁で勿体ぶってみせた公的支援をすべきだという意味ではない。そうではなくて、スカイマークが当初から再建の切り札としていた日本航空(JAL)との提携による再建策に執拗に難色を示し、事実上の再建妨害になっていた「介入」の自粛が求められているのである。
JALを追い込んだ前原国交相の「白紙撤回」
歴史的に見て、国土交通大臣の不用意な発言が、航空会社の破たんの引き金になったのは、今回が2度目と言ってよいだろう。
最初のケースは、2009年の秋のことだ。政権を奪取したばかりの鳩山由紀夫・民主党政権で「口だけ番長」の異名をとった当時の国土交通大臣前原誠司氏が行った「白紙撤回」発言である。
経営危機下にあったJALの再建を巡り、自民党政権時代の有識者会合が検討を進めていた再建策を白紙に戻すと述べたもので、水面下で調整が行われた金融機関のつなぎ融資計画などが空中分解する結果を招き、抜き差しならない立場にJALを追い込んだ発言である。詳細は、拙著『JAL再建の真実』(講談社現代新書)を参照していただきたい。
そして、もう一つが今回のスカイマークの経営再建策を巡る太田国土交通大臣の昨年11月25日の記者会見における発言だ。
前述の本コラムでも紹介したので、ここでは要点の紹介にとどめるが、同大臣は「まだ正式な申請がなく、交渉中の案件なのでコメントは差し控える」と言いながら、「健全な競争環境の確保の観点から、(是非を)厳しく判断する」と、スカイマークが打ち出したJALとの共同運航(コードシェア)を軸にした再建策を認めない方針を示唆したものだった。