2015.04.02
# 科学史

科学が「実体のないもの」から「手触りできる」世界へと戻ってきた!

科学と人間の物語をテーマにその普遍を描く
荒俣 宏 プロフィール

コンピュータも初期はプログラマーとなるだけで何回もの研修会に参加しなければならなかった。つまり、科学は日常のことばではおもしろさを語れなくなってしまったのである。

そこで本書の親本は、見えにくくなった現代科学を「素人にも理解できる」物語にすることを目標とした。こうして、機械と人物から成る科学の物語ができあがったのである。

ところが本書刊行のあと21世紀になって、事態は一変した。「科学家電」と呼ぶべきパソコンやスマホの登場により、ふたたび科学が「手触り」の世界に戻ってきたからである。

小学生でも直観的に使用できるIT製品が「科学」の具体物になったのが大きく、最近にいたっては、スティーブ・ジョブズのようなパソコン開発者の人間性までが、物語として語られるようになった。科学がふたたび人間と機械とを通して語れる。

Photo by Max Pixel

未来の科学はもはやSFではなく、発売日が発表された新製品を待つようにして日常的に語られる。その意味で、現代科学をできるだけ具体物とその発明者の伝記から読み解こうとした本書は、20年前よりもおもしろく読んでいただける可能性を増したかもしれない。

科学書は、通常、古くなれば読む価値がなくなるが、本書のようにあらかじめヒストリーでなくストーリーに仕立てたものはどうだろう。手前みそだが、私は再読してみて、科学と人間の物語はそのテーマにおいて普遍的だと実感した。むかしの科学者の話は、今の科学者の話でもある。

そんな思いから、本書をさらに分かりやすく『サイエンス異人伝』と改題したうえで、新しい読者にお届けすることにした。

(あらまた・ひろし 博物学者)
講談社 読書人の雑誌「本」2015年4月号より

荒俣 宏(あらまた・ひろし)
1947年生まれ。日本の博物学者・図像学研究家・小説家・収集家・神秘学者・妖怪評論家・翻訳家・タレント。玉川大学客員教授。武蔵野美術大学客員教授。サイバー大学客員教授。日本SF作家クラブ会員。世界妖怪協会会員。

荒俣宏・著
『サイエンス異人伝 科学が残した「夢の痕跡」』

講談社ブルーバックス 税別価格:1,280円

かつて、電気から電波、エレクトロニクスへと発展していくにつれて消え去った「実体」が、21世紀になって、「科学家電」と呼ぶべきスマホなどの登場でよみがえり、科学が「手触り」の世界に戻ってきた。科学がふたたび人間と機械を通して語られ、未来の科学はもはやSFではなくなった。20世紀に突如として現れた発明品と発明者の伝記を読み解くことで、いままた現代科学が「素人にも理解できる」機械と人間からなる実体(リアル)へと変わる。

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