2015.03.28

維新・足立康史議員が、「大阪都構想」を批判する「現代ビジネス・藤井原稿」を国会で追及~~政治圧力と学問の自由について 

藤井 聡 プロフィール

国交省に学説の「正否」を問い詰め続ける足立議員

そもそも足立氏は、「ある学者の説」が学術的、専門的見地から言って不当であると認識するなら、学術的な論争の場である学会や学術誌、あるいは、より広範な言論誌で、その不当性を問い、自説の正当性を学者や専門家、そして、公衆に問えば良いだけではないかと考えます。

実際、答弁の中で北川副大臣は、「もしこれが違うというのであれば、別の先生が、学者がですね、これは違いますよということで論争があっていいはずだというように思ってます」と学術的議論を促す発言をしておられます。

にも拘わらずなぜか足立氏は、言論にて当方の不当性を論証する「前」に、自分自身の「政治権力」を駆使して「国会」の場にて、公権力の中枢にいる大臣や関係省庁に「ある学者の説の見解の正当性」を問いただしています。

国会質問が万が一にも成立するとするなら、STAP細胞問題の様に、その言説があらゆる学術的吟味を経た上でもやはり不当としかいいようが無い、という事が明確にされた場合に限られるはずです。

そして言うまでもなく、今回の件は当該の説が公表されてからたった「3日」しかたっておらず、その不当性が全く論証されてはいない段階で、足立氏の国会質問がなされたのです(参考までに申し上げるなら、「その学者の説」に賛同する学者、専門家が実に数多く存在していることを、ここに明記しておきたいと思います)。

にも拘わらず、足立氏は執拗に、その学者の論説が正しいか否かを、国交省に問い詰め続けました。

曰く「(その学者の説は)デマだと言っているんですよ。都市局長がこういう事について見識を述べないというのは、どうするんですか。それから国土交通省の三役(著者注:大臣、副大臣、政務官)も一体何のためにそこに座ってるんですか。」

「都市局長、いい加減にしてください。ちゃんと答弁してください。これについて、これは、都市計画の観点から認められない、そう私は思うが都市局長はどう思うんですかと言ってるんですよ。どっちかですよ。いい加減にしてください」と激しく非難しました。(https://www.youtube.com/watch?v=ZCxQ_W6o5A0 24:40頃から)。

これに対して政府は、(この説が)「正しいのかどうか、それを論評する立場にはない」(北川副大臣)、という趣旨の答弁を繰り返します。

そもそも「その学者」が論じたのは、国会で制定された「都区制度への移行」そのものについての「一般論」ではありません。そこで論じられたのは、「今回制定された具体的な『協定書』に基づく都区制度への移行」についての、当該の法律の「運用」に関わる「特殊事例」についての議論なのです。

それは丁度、立法府が法律を定め、司法がその法の運用をする、その際、立法府は司法の運用全てについて逐一見解を述べる義務を負わない(というよりむしろ、述べるべきで無い)、ということと同様の構図にあります。

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