2015.04.20

「もう投げられない」怪物・松坂大輔の終焉を考える

素人でも分かるひどい投球フォーム
週刊現代 プロフィール

「結局、広報課長が辞職するまでに事件は発展しました。松坂が会見で『身代わり出頭のことは知らなかった』と発言したとき、あまりにも誠実さに欠ける言い訳だと、私たち記者も呆れたものです」(スポーツ紙デスク)

投手としての実績を見ると、タイトルは手にしている一方で、ここぞという場面に弱かった。

'00年のシドニーオリンピックでは、メダルのかかった韓国との3位決定戦で敗戦投手に。'02年、日本シリーズ対巨人戦でも第1戦、第4戦に登板して2敗。チームは日本一を逃した。

 

ある元チームメイトが、松坂を評して言う。

「彼は才能に恵まれすぎたんです。野球だけでなくゴルフもプロ並みに上手いから、『俺、プロゴルファーになろうかな』なんて軽口を叩く。その発言に、周囲が鼻白んでいることに、松坂本人だけが気づいていないんです。

才能がありすぎたからこそ、真摯な努力ができなかった—そう言葉にするのは簡単ですが、これまで出会った指導者の誰も、彼を改心させられなかったのも残念です」

たしかに、高校時代の輝きがあまりにもズバ抜けていたため、まずは西武が特別扱いし、メジャーで洗礼を浴びたのに、今度はソフトバンクが「4年16億円」という破格の条件を提示した。

「どう考えても払いすぎ。戦力というより、広告塔として契約をしたとしか思えない。そもそも、まずはプロとして身体を絞らないことには、どうしようもないでしょう」(野球評論家の江本孟紀氏)

30代の半ばを迎え、日本に戻ってもやはり変われなかった松坂は、ひとりトレーニングルームにこもる。

前出の小倉氏が語る。

「私と話すのが嫌なのか、最近は電話にも出てくれません。口が悪いからつい厳しいことを言ってしまうけど、それも心配しているからこそ、励ましたいと思っているからこそなんですがね……」

孤独な「元怪物」が目を覚ますための時間は、もうほとんど残されていない。

「週刊現代」2015年4月25日号より

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